あらすじ
新型コロナで入院した茅野は、両親を失い、自身も一週間の昏睡から目覚める。彼には手を叩くと周囲がスローモーションに見える不思議な力が残っていたが、誰かを変えることはできず「役に立たない」と評される。病院には個性的な患者たちがいて、院内外の出来事や噂を巡って衝突や策謀を繰り返す。古戸は退院条件が「自分の病を自覚すること」と語り、茅野も自由を得るため病の正体を探ろうとする。やがて市松模様の旗を掲げ、医師ドクトルに反抗しようとする動きが高まるが、情報は制限され、真実は見えないまま。閉ざされた病院内で、茅野は力の意味と自らの在り方を模索していく。