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シャーナンクエスト

０．導入〜魔王登場〜

　…幕は閉じたまま。幕前に登場した魔王にスポットが当たる。平穏な日常世界に舞い降りたのは何故か魔王さんなのであった。

魔　　王　　あーっはっはっはっは！待ちに待った祭り。みんな、楽しんでいるかい？あーっはっは！え？お前は誰かって？…見てわかりませんかって。あーっはっは。意外にこれ、似合ってるでしょ？ちょっと、いいカンジでしょ？これ、よくできてるでしょ？…あ、今ウザぃこいつって思ったでしょ？思ったでしょ！？

　魔王が割と勢いよく話をしているかと思っていたら、元気よく下僕が登場。下僕さんにもスポットが当たる。

下　　僕　　魔王さまー！
魔　　王　　おい、お前！気安く魔王さまなんて言うんじゃねぇよ。
下　　僕　　す、すいません。でも、魔王さまは魔王さまじゃないですか。
魔　　王　　私は魔王でも、ただの魔王じゃないの。…おとしごろの女の子よ。
下　　僕　　そんな魔王初めて聞きましたよ…。
魔　　王　　こう見えても、１６歳よ。１６歳、魔王なう！（きらーん）
下　　僕　　世界観がよくわかんないっすね…。
魔　　王　　だまらっしゃい！
下　　僕　　で…どうしたんですか、１６歳の魔王さん。
魔　　王　　お願いがあるの。
下　　僕　　はぁ。
魔　　王　　腹減った。
下　　僕　　僕もです。
魔　　王　　肉食いてぇ。
下　　僕　　…肉ですか。
魔　　王　　うん、肉食お、肉！
下　　僕　　お年頃なんですよね？
魔　　王　　このアンポンタン！お年頃だから肉食いたいんだよ。んー、上カルビも塩タンも豚トロももう飽きちゃったしなぁー。
下　　僕　　魔王のくせに、食べてる肉は人間ですね。
魔　　王　　うーん、そう！人間！
下　　僕　　は！？
魔　　王　　人間の肉！
下　　僕　　そう簡単じゃないんですよ、人間の肉を手に入れるのは！
魔　　王　　そんなことわかってる！だから食べたいのよ。
下　　僕　　んな、むちゃくちゃなぁ…。魔王さま、今のこの空気感じ取ってます？この客席の反応の少なさ、やばいと思いません？僕たちが肉にされちゃいますよ。
魔　　王　　下僕！私は魔王よ？この世で一番強い者よ？
下　　僕　　わかりましたよ。そんなことがあろうかと、目星はつけてます！
魔　　王　　ほぅ、やるなぁ下僕。できた部下だ。
下　　僕　　へへ、それほどでも。
魔　　王　　よぉーし！下僕、バイク用意して。
下　　僕　　あのですね、普通に考えてＲＰＧの世界にバイクっておかしいでしょ？
魔　　王　　私にはバイクしか見えてないんだけど。
下　　僕　　…わかりました…わかりましたよぅ！僕がバイクになりますぅ。

　魔王、下僕にまたがる（肩車？）下僕、バイクのような音を声に出して、人間界へレッツゴー！…下僕と魔王、去る。この世で一番強いものは、果たして魔王なのか？

１．勇者の家

　幕開き、地明かりオン。場面の始まりはとある家庭のワンシーンから。ママが非常に機嫌良さげに家事をこなしている。聞き覚えのあるこの鼻歌なんか歌っちゃっている。

マ　　マ　　あら、やだもうこんな時間！あの子たちを寝かしつけないと。ちょっと、あんたたちー、もう寝る時間よぉー！…。マジメちゃーん、チャラオちゃーん。もうおねんねする時間よー、聞こえてるー？

　マジメちゃんが大あわてで登場。

マジメ　　お母様！私はもうマジメちゃんと言われる歳ではありません。
マ　　マ　　マジメちゃんは本当にマジメね。いいじゃない、別に。
マジメ　　私ももう１８歳です。それに…
マ　　マ　　明日は決戦でしょ？
マジメ　　はい。
マ　　マ　　いよいよね、ここまで長かったわ。
マジメ　　苦節１８年、世のため人のため、悪という悪をけちらして、私は経験値を稼いでおりました。
マ　　マ　　いやぁー、私は本当に良い子に恵まれたと思うわ。

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