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sister

『sister』
はっとりおきな

【登場人物】
（女）平沢　逢子：邑子の妹。
（女）平沢　邑子：逢子の姉。
（女）ココロ
（　）ミロ
（女）平沢　朝子：邑子の母。妊娠している。
（男）平沢　幸：邑子、逢子の父。
（　）かみさま１
（　）かみさま２
（男）男子生徒
（男）日奈子の夫

シーン１

　　　いつかのどこかの、薄暗い道。平沢逢子が登場。
　　　男子生徒が追いかけてくる。

男子「平沢さんっ！」

　　　逢子、無表情のまま振り返る。

逢子「なに？」
男子「平沢さん……いや、逢子ちゃん！」
逢子「なに？」
男子「おれ……おれ、ずっと前から言おうと思ってたことがあるんだ」
逢子「なに？」
男子「実はおれ……ずっと前から逢子ちゃんのことが好きなんだッ！」

　　　沈黙。逢子は無表情のまま。

逢子「……」
男子「だ、だから……つ、付き合ってもらえたらなーって」
逢子「好き」
男子「あ……そ、そっか！　僕ら、両想いだったんだね！」
逢子「ここにいるのは、好き」
男子「……え？」

　　　段々と明るくなる中、逢子が話し始める。

逢子「ここにいるのは、好き。この世界は暖かくも冷たくもなくて、いつでも私を
そっけなく歓迎してくれて。受け入れてくれる、あるがまま。それが私には、
すっごく心地いい」

　　　舞台端に移動する逢子。何者かの腕が伸び、ティーカップとお菓子を手渡す。
　　　男子生徒にもお菓子が手渡される。慌てる男子生徒。

逢子「いつでもおいしいお菓子と紅茶が近くにあって。甘い匂い、いっぱいで。
ハチミツの焦げたような、濃くて甘い、甘い、香り」

　　　舞台中央の逢子が座り、お菓子と紅茶を置くと、そこに枕が飛んでくる。
　　　キャッチする逢子。

逢子「その香りに包まれて、私は今日も眠るの。ぐっすりすやすや、いつまでも。

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