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人形つかい

人形つかい

一場

　　　裏町に日が暮れてゆく。賑やかに人々が歩いている。その人並の中から、こ
　　　の辺りを根城にしている鼻つまみ者の少年たちが飛び出してくる。

歌　「裏町」

賑やかな人混みの中　ほこりだらけ　汚い街
そこだけが俺達の街　知った顔がみんな集まる
金はなくても　欲しい物は全部揃ってる
欲張りをいわなけりゃ　幸せな街
裏町へほら（汚い場所だがいますぐ）おいでよ
小さな微笑みをあげる

いやな奴もいるけど　それは言わない約束
欲張ればきりがない　けれど生きてる
裏町はゴミ（なくしたかなわぬ夢の）捨て場さ
小さな幸せが　ゴミの中にそっと転がって
泣いてるかもしれないから
探しにおいで今すぐに　独り占めは出来ないけど

　　　少年たちは街の一角にある小さな空き地に集まる。人形使いがリヤカーをひ
　　　いて現れる。相棒のゆきえも一緒である。

さとし　遅いじゃないかよ。
ゆきえ　なんだ、またお前らか。
あきお　お前らかとはなんだよ。だいたい俺達が見てやらなきゃ客なんか誰も来な
　　　いじゃないか。
ゆきえ　来ないはずだよ。こんな汚いガキどもが我が物顔に前を占領してたんじゃ
　　　な。誰も立ち止まって金を投げようなんて思わないよ。
ゆたか　俺達、じゃまか。
ゆきえ　そんなことないけどよ。全然客が来ないもんな。もう三日もろくに食べて
　　　ないんだぜ。
みゆき　少しならお金もあるよ。
ゆきえ　くれるなら食い物にしてくれ。ちょっとでも現金があると、あっと言う間
　　　に新しい人形だの仕掛けだのに変わってしまうんだ。
さとし　凝り性だからな、あいつ。
ゆきえ　とにかくあいつにくっついてきたのが間違いだったよ。人間に食わせるよ
　　　り人形に服を着せる方が優先なんだもんな。
信太郎　さて、始めようか。
あきお　待ってました。
信太郎　今日は君たちの誰かにも手伝ってもらいたいんだ。新しい話なんだけど、
　　　人形を改造したんで操る人が足りないんだよ。
さとし　俺達でも出来るのか？
ゆきえ　まあ、普通の頭があればな。
あきお　じゃあ、お前は無理だ。
さとし　なんだと。
信太郎　彼女にやってもらおう。

　　　すみに座っている少女（はるか）を指名する。

ゆたか　おい、こいつは口がきけないんだぞ。
さとし　口がきけなくてもできるのか？
信太郎　まあ、何とかなるんじゃないかな。始めよう。

　　　人形劇が始まる。

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