カメレオン
カメレオン

1…初老の男性。娘の結婚を控えている
2…30代の女性。自分の結婚式を控えている
3…20代前半の男性。姉の結婚を控えている
4…この場所のマスター


舞台上には机と椅子がワンセットある。
机の上にはカメレオンがいる。
明るくなると男性?@がいる。

1 (店に入ってくる仕草をして)一人ですけど、いいですか。
  あ、どうも。へー(周りを見渡す)。
  あなた、お若く見えるけど、おいくつですか?へーそう。僕より20も若いの。へー…。
  え?ああ、飲み物ね。そうだよね、こういうところに来たからには飲み物頼まなきゃね。
  ごめんなさいね、こういうところに慣れてなくて。
  んーそうだなぁ…じゃあ牛乳をもらおうかな。
  ほら、僕すぐ酔っちゃうでしょう?だからこういうのからね、攻めていかないと
  (カメレオンを見て)こんばんは。このカメレオンは本物ですか?へーそう。
  「俺はカメレオンのカメ助だ(声真似)」なんてね。カメ助って、亀になっちゃった。ふふふふ。
  (立ち上がって)このギターは本物ですか?へー、マスターが弾くの?へーそう。
  いいですねー楽器が弾ける人ってかっこいいですよね。
  あ、でも僕もね、自慢じゃないけどこう見えて実は、そろ盤3級なんですよ。
  最近習い始めまして、これが結構おもしろくて。あなたも如何ですか?あ、そう。
  はい?いえ、特に紹介とかではなく、たまたま目についたんで入ってみたんです。普段はあまりお酒を飲まないけど、今日はちょっとね、そんな気分だったというか、ええ。一見さんお断りですか?そうですか、それは良かった。
  あなた、このお仕事長いの?へー、そう。ご結婚は?へーそう。それはよかった。
  娘さん可愛いでしょう。ねぇ。そっかそっか。
  (立ち上がって)このピアノは本物ですか?へーマスターが。ギターに続いてマスターが。
  右手にギター、左手にピアノですか。へーかっこいいじゃないの。
  あ、でも僕もね、自慢じゃないけどこう見えて実は、そろ盤3級なんですよ。最近習い始めて。
  さっき聞いた?あ、そう。ごめんなさいね、年を取ってくると同じ話ばかりしたくなって
  ちょっと小腹が空きましたね。おでんとかたべたいなぁ、なんて。
  ないですよね、こんなお洒落なところに。あるんだ。言っといてなんですけど、ちょっと驚きました。
  おーおいしそうじゃないですか。あー、大根が良い感じに浸みてますねぇ。
  では大根からいただきましょうか。あ、ああ!あっつ!…熱いじゃない。
  いやいや、マスターが悪いわけじゃないから。全部大根が悪いんです。
  うん?うちはね、娘と息子が一人ずつ。娘は明日結婚式。
  うん、ありがとう。娘には苦労かけたからね、幸せになってもらいたい。
  その辺に並んでいるのも全部お酒ですか?へーそう。たくさんありますね。
  そろそろ挑戦してみますか。何かおすすめはありますか?
  ワイルドターキー。これは何になるの?ウイスキーとかバーボンとかでいうと。
  へーそう、ウイスキーのバーボンなのね。どういうこと?
  へーそう、バーボンってウイスキーの一種なのね、へー。
  でも僕にはちょっと強すぎるかな。やっぱり、ビールください。
  ああ、いや、そんなグラスになんて、飲みきれないですよ。お猪口あります?そう、お猪口で。
  ほら、僕眠くなっちゃうでしょう。だから、とりあえず慣らし?みたいな。ええ。
  はい、どうも。(飲んで)苦いね〜。なんでみんなこれをおいしそうに飲んでるの?
  こういうときはね、お口直しにたまごちゃんの登場ですよ。好きなの、僕。
  (食べる)あ、ふっ、あほふほああつっほ、んあ。熱い。
  え?そうね〜普段飲まないのに入った理由ね〜。
  なんていうか、ちょっと寂しくなっちゃって。やっぱり、娘が嫁に行くってのは親父にとってはね。
  バカ息子なら嬉しいだけなんだろうけど。マスター、もう一杯もらえる?そう、お猪口で。(飲む)っかー!
  でね、嬉しいやら悲しいやらで、よくわかんなくなっちゃったから、普段飲まないお酒を飲んでみようかと。
  マスターもね、娘さんは大事にね。あっという間だよ。あー明日泣いたらどうしよう…。寂しい

男性1が寝る。が、すぐに起きる。

1 んが?寝てた?ごめんなさいね。あー!…頭痛い…。これが二日酔いか。
  そうね、明日は飲まないようにするよ。悪いけど、こんなだからそろそろ帰るね。
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