まどろみより、少女

―登場人物―
レイ…高校2年生。演劇部員。
マキ…高校1年生。演劇部員。




  ガヤ。
  役者は舞台上でからむことがない。
  おのおのの動きを行う。
  ふと、その動きが止まる。


マキ「これは私からきいたお話ですが、とある高校の演劇部に先輩レイがおりました。書きかけの物語、やぶれたカレンダー、蝉の声。それだけがレイと共にありました」

マキ「……暑いですね〜」
レイ「暑いわ……とける」
マキ「エアコンほしいです……」
レイ「室温32度だって」
マキ「言わないでください……。ますます暑いですぅ」
レイ「てかあんた近い。暑苦しい」
マキ「ひどいです……あ、それ新しいやつですか?」

   ペットボトルを指さすマキ。

レイ「そうだよ」
マキ「おいしいですか〜?」
レイ「……飲む?」
マキ「え、いいんですか? わーい!」

  マキ、飲む。

マキ「うーん、微妙」
レイ「じゃああげる」
マキ「え、いらないです」
レイ「先輩命令」
マキ「お断りします」

レイ、一口飲む。

レイ「ぬるー」

 蝉の声

レイ「大会どうする?」
マキ「……どうしましょうね」
レイ「やりたいことある?」

  マキ、首を振る。

レイ「そっかー」
マキ「先輩は?」
レイ「んー……」
マキ「……夏ですねぇ」

  マキ、窓をあける。
  ひぐらしの声がきこえる。

マキ「書けました?」
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