オーレロレロ
オーレロレロ
少女:一生懸命でまっすぐ 純粋
家庭①貧乏でも暖かさがあるような
母1:お歌が上手
父1:粗暴
祖母:若いのに老けてる
弟 :少女よりも年上
家庭②隙間風が吹くような
母2:痩せこけてボロボロの男
弟2:足と目が悪い
妹 :母よりも年上
祖父:優しく穏やかな女性
家庭③ 金持ちで品のあるようなないような
父3:身なりの良い成金
母3:品の良い淑女
兄 :強く逞しい
姉 :優しく美しい
山岳地帯のある田舎の村
季節は冬 年末まで間も無く
全国から人が集まる大きなお祭りが控えており、村人も皆慌ただしくしている。
ガヤガヤとうるさい
上手から少女が陽気に歩いてくる。中央面
各家族はセリフの際に上下交互に入ってきてセリフが終われば退場
少女 私が生まれたこの村では、毎年行われる大きなお祭りがあります。私が生まれるよりもずっとずっと昔から行われてきたこのお祭りは、この村に住む人々の誇りなんです。お祭りの目玉でもある「爻路神楽(こうじかぐら)」という神様に歌を奉納する神事を一眼見ようと全国から人が集まってくるんです。出店もすごくたくさん出されて、なんだか、その出店だけで生活できている人もいるんだとか。…まあ、実はうちがそうなんですけどね。昔母にもこんなことを言われました。
母 昔からうちの家財はお父さんが全部祭りに流しちゃってね。あんたが生まれてすぐの頃、あんたまで売りに出そうとして止めるのが大変だったんだから。
少女 お父さん、そんな刹那的な生き方してたんだ…。私も小学生の時とか後先考えず男子に喧嘩売ったりしてたもんな〜。やっぱり親子か…。まあ、そんな私も爻路神楽に出られるように、ちっちゃい頃から練習してきたんです。昔お母さんが一番を獲ったって言ってましたが…
父 ああ、あれはいい金になった。成金共はああいうのを一つも持ってないからよぉ。その金で…何買ったんだっけか。
少女 そうやって買ったものも次の年にはまた祭りに流しちゃうんだから、もううちには何も記録になるようなものはありません。でも、それはこの村では珍しいことじゃないみたいで、さっちゃんちも、たかくんちも同じです。最近会えていないですが、けいくんちなんかは家家族(いえかぞく)ごと流れて行っちゃったとか、いないとか。でも、おばあちゃんがよく話してくれるんですが、流れていくのと同じだけ、この村にはあれこれ流れてくるらしいんです。
祖母 私も昔は都会にいたんだよ。いろんな男にチヤホヤされてね。一番愛してくれた男についてきたら、この村の祭りに流されちまってね。本当だよ。おばあちゃんも昔はあんたに負けないくらいすっごく可愛かったんだから。
少女 この話も、もう耳に出来たタコがイカになるくらい聴きました。おばあちゃんは村の外から来ていたということ、けいくんちが村の外に流れていったこと、それが珍しいことじゃないっていうのがどうやら珍しいようで。
弟 姉ちゃん、神楽の練習いかなくていいの?お母さんが呼んでたけど。
少女 あ、忘れてた!すぐ行くって言っておいて!あ、今のは私の弟です。昔っから私の後ばかりついてきて、一緒に神楽の練習とかもしてたんですけど、最近は反抗期っていうんですかね。少し冷たくなって、なんだかお姉ちゃんとしては寂しいというか。でも多分、けいくんと一番仲が良かったので、それもあるのかなって。あ、今ので私の家族全員です。少し貧乏で、ちょとぶっきらぼうですけど、それでもあったかいというか。そんな家族で、今年も無事全員一緒にお祭りが迎えられて、私はとっても幸せです。あ、お稽古行かなきゃ!
少女 下手ハケ
母 上手入り 衣装は少し綺麗な格好
少女 少し間を置いて下手入り
少女 遅くなりました!
母 もう時間ないからね。分かってる?
少女 はい!
母 うん。昔優勝したお母さんの娘がいつまでも優勝できないんじゃ、お母さんが色々言われるんですからね。
少女 …はい。
母 よろしい。もうお祭り自体は朝から始まってるんだから。明日の神楽まであんまり時間ないのよ。はい、じゃあ発声から。
少し発声練習。ボイトレ的な。
続けて歌の練習 ヨーデルか神楽歌。まあ歌であればなんでも。
少女 ねえお母さん。
母 何?
少女 なんで神楽なのに歌なの?
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