僕のヒーロー
『僕のヒーロー』
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鮎川:鮎川(あゆかわ)さゆ。実は大病を患っており、二十歳まで生きられないと言われている。
只野:只野慎太郎(ただのしんたろう)。熱血で真っ直ぐなバカ。鮎川のことが好きで彼女のために生きると決めている。只野(爺)も兼ね役。
佐藤:佐藤弘樹(さとうひろき)。さゆの幼なじみ。さゆのことが好きだったことも。慎太郎とは仲の良い友達。
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0:放課後のチャイムの音
鮎川:「はあ~、今週もやっと終わった~。
鮎川: 金曜の午後の授業が一番しんどいわ~。」
佐藤:「お疲れ、さゆ。」
鮎川:「あ、ひろき、おつかれ~。」
佐藤:「なに?ホントにお疲れ?」
鮎川:「金曜だしね。やっと休みか~って感じだもん。」
佐藤:「まだ終わってないでしょ。」
鮎川:「え?」
佐藤:「ほら。恒例の、アレ。」
鮎川:「ちょっと、嫌なこと思い出させないでよ。」
佐藤:「え?なんで?嬉しくないの?」
鮎川:「嬉しくないよ!あんなの!」
佐藤:「ええ~?なんで?あんなに熱烈に・・・、おっと。
佐藤: 噂をすれば、来たみたいだよ。」
只野:「(遠くから)あ~ゆ~か~わ~!うおおおおおおおお!
只野: (教室に入ってきて)鮎川!好きだ!今日も素敵だ!大好きだ!
只野: 今週の俺はどうだった!?鮎川にふさわしい男になれただろうか!?
只野: 必ずお前を幸せにしてみせる!だから鮎川!俺と付き合ってくれ!」
鮎川:「やだ。」
只野:「くああああ!即答~!くうううう!しびれるぜ~!相川~!
只野: なあ!俺のどこがダメなんだ!?今すぐ直すから教えてくれ!」
鮎川:「だから!何度も言ってるけど!
鮎川: みんなが見てる前で大声でそういうこと言わないで!
鮎川: 恥ずかしいから!」
只野:「なんでだ!何を恥ずかしがることがある!
只野: 愛とは素晴らしいもの!恥ずかしがる必要なんてない!」
鮎川:「あんたの存在自体が恥ずかしいのよ!」
只野:「なん・・・だと・・・。
只野: 俺の存在が恥ずかしい・・・。
只野: 俺を前にすると恥ずかしくて素直になれない・・・。
只野: そうか。そういうことだったのか!
只野: 素直になれないそんな鮎川も好きだ~!」
鮎川:「死ね!」
只野:「ぐはぁ!・・・・・・ふっ、照れ屋さんだな・・・。
只野: げぶぅ!ぐはっ!ひぐっ!ほげぇ!」
佐藤:「ちょっと、さゆ、さすがにそれくらいにしておきなよ。」
鮎川:「まったく。今度変な勘違いしたら本当にただじゃすまないから!
鮎川: ひろき、わたし先に帰るからね。」
佐藤:「あ、うん。じゃあね。・・・慎太郎、大丈夫?」
只野:「ふっ、これくらいの愛のムチ、受けきれないでどうする。」
佐藤:「愛のムチとはちょっと違う気がするけど・・・。」
只野:「しかし、今週もダメだったか。しかたない。
只野: また一週間、男を磨いて出直してくるか。」
佐藤:「ふふ、懲りないね。」
只野:「懲りる?何をだ?」
佐藤:「さゆに毎週毎週振られ続けて、もう三年半だよ?
佐藤: 普通だったらもうとっくにあきらめてるでしょ。」
只野:「あきらめる?何を言ってるんだ。
只野: そんな簡単にあきらめられるなら最初から好きだなんて言わないぞ。
只野: 俺は鮎川を幸せにする、そのために生きると決めたんだ。
只野: 俺があきらめる時は、俺が死ぬときだ。」
佐藤:「・・・ふっ、そっか。」
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