ぶっ飛び歯医者さん
舞台は歯科医院。患者は椅子に座っており、その脇に医者が立っている。医者が座る用の椅子もある。

医者 「今日はどうされました?」
患者 「昨日夕飯を食べていたら急に右下の奥歯らへんに痛みが走って、今日も痛みが引
  かないので一度見てもらおうと思いまして」
医者 「なるほど、わかりました。ではまず一度レントゲンを撮って口腔内の様子から確
  認していきましょう」
患者 「わかりました」

患者、立ち上がろうとする

医者 「あっ、そのままで結構ですよ」
患者 「えっ?」
医者 「口を大きく開けてください」

医者、スマホを取りだし写真を撮る

医者 「はい、閉じていいですよー」
患者 「・・・」
医者 「やっぱり画質いいなー」
患者 「・・あのー」
医者 「はい」
患者 「そのスマートフォンって」
医者 「あーわかっちゃいましたか。先週出たばっかりの新機種ですよ。画質がスゴく良        くなってて」
患者 「いやそうじゃなくて、スマートフォンじゃレントゲン撮れませんよね」
医者 「何を言ってるんですか。そんなバカでもわかることを」
患者 「バカでもわかることをなんでやってるんだよ」
医者 「いやーうち今レントゲン用のフィルム切らしてまして」
患者 「はっ?」
医者 「なので仕方なくこうして最新のスマートフォンを導入してる次第ですね」
患者 「それ歯医者として良くないんじゃないですか?来る患者さんみんなスマートフォ
  ンで撮影する形になるんですよね?」
医者 「いや、もう後15分ほどで届くのでこの撮影方法はあなただけですね」
患者 「なんだそれ!俺だってレントゲン撮れないなら撮れるまで待ってたわ」
医者 「はっはっは。お大事にー」
患者 「いやお大事にじゃねえよ。なんだコイツ」
医者 「まあ安心してください。私この道のプロですから。レントゲンなんて無くても原
  因をたちどころに解明してみせますよ」
患者 「ほんとかよ。ちっとも信用出来ないんですけど」
医者 「昨日の夕飯は何を召し上がられたんですか?」
患者 「えっと、鯖の缶詰とモヤシの炒め物を食べました」
医者 「そうですか。私はA5ランクの近江牛のステーキでしたね」
患者 「・・そうですか」
医者 「お酒は飲まれましたか?」
患者 「発泡酒を3本ほど飲みました」
医者 「なるほど。私はロマネ・コンティを開けました」
患者 「いるかその自慢?歯の治療に絶対関係ないだろ」
医者 「すみません。自慢しているつもりなんて無かったのですが」
患者 「無意識だとしてもあまり心証は良くないから気を付けた方がいいですよ」
医者 「申し訳ありません。貧乏人の気持ちに寄り添えなくて」
患者 「お前絶対無意識じゃないだろ」
医者 「お詫びといってはなんですが、今回は無料で抜歯をさせていただきます」
患者 「あぁ、やっぱり奥歯は虫歯だったんですね」
医者 「確信は持てませんが」
患者 「確信持ってからやれよ!えっ、健康な歯抜いちゃいましたーテヘッで済むと思っ
  てんの?」
医者 「それは患者さんによりますね」
患者 「普通はみんな怒るよ!」
医者 「そんなに不安を持たれるのでしたらレントゲンのフィルムが届き次第レントゲン
  を撮りましょう」
1/3

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム