演劇部、来年廃部するってよ!
『演劇部、来年廃部するってよ!』 作・金久保知貴
◆登場人物 ◆
髙橋 凜 (高校一年生)
井上 大雅 (一年生/凜と同じクラス)
川江 玲奈 (演劇現部長/三年生)
榎本 志保 (演劇部三年生)
井上 鈴 (演劇部三年生/大雅の姉)
髙橋 麻由里 *(凛の母親)
大原先生 *(秋胴高校の先生)
【男1/女6 計6~7人】
*併役可能
①
秋桐高校。四月。体育館の前で部活動勧誘のビラ配りをしている。
玲奈、志帆、鈴がまばらに立っている。紙を差し出すが、なかなか受け取ってもらえない。
他の部活動に負けないように更に大きな声を出す。
玲奈 「お願いしまーす!」
志帆 「よければビラもらっていってくださーい!」
鈴 「楽しいですよー!」
玲奈 「お願いしまーす!」
鈴 「人生変えてみませんか?!」
志帆 「お願いしまーす。」
鈴 「(食い気味に)自分でも知らない世界に行きませんか?!」
玲奈 「お願いしまーす!」
鈴 「本当の自分を見つけませんかー?」
玲奈 「鈴、ちょっと怪しくない?(と笑う)」
鈴 「いやいや。この勧誘の仕方が一番効果的なんだよ!」
志帆 「吊り橋効果的な?」
玲奈 「あ、お願いします! お願いしまーす、演劇部でーす!」
志帆 「もらっていってくださーい!」
鈴 「そこの新入生! 人生変えてみない?」
玲奈 「(慌てて)あぁー、すみません! うち、演劇部なんでよかったら……。」
志帆 「逆効果なんじゃね?」
鈴 「鈴もう辞めたーい。」
玲奈 「もうちょっと! ほら、一時間目までまだ十分もある。」
鈴 「フルでやるの?!」
志帆 「あと五分。それで駄目なら今日も諦めよ。」
鈴 「もらってくれる人いるのかなー。演劇部のビラなんて。」
玲奈 「もらってくれる! だって、一生懸命書いたんだもん!」
志帆 「しかも土日の公民館で!」
鈴 「ブラック企業かよぉぉ。」
大雅がやってくる。
大雅 「何だよ、あの一年。俺のこと見て笑いやがった!」
鈴 「大雅!」
玲奈 「大雅くん、ゴメンね。いきなりビラ配りの手伝いさせちゃって。」
大雅 「全然大丈夫です! 俺、あの一年が入る部活のこと、ずっと笑ってやりますから。」
鈴 「妬み深いと嫌われるぞ?」
志帆 「そっちはどうだったの?」
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