休憩してたら知り合いがクジで当たった下敷きを見せびらかしにやってきた
コント
コント『休憩してたら知り合いがクジで当たった下敷きを見せびらかしにやってきた』作:第三字宙 約10分(約3800文字)
休憩してたら知り合いがクジで当たった下敷きを見せびらかしにやってきた
登場人物:
やすむさん(休憩室で先に休んでいた人)
あたるさん(クジで下敷きが当たった人)
休憩をしている人がいる、そこに下敷きを持って人がやって来る。
やすむ 「あれ、その下敷き」
あたる 「あ、わかりました? 当たっちゃいましたぁ」
やすむ 「わぁ、すごい、クジすぐ売り切れですよね」
あたる 「そうなんですぅ、たまたま入ったら、やってて、まぁ、当たらないかってやったら、なんと、当たっちゃいましたぁ」
やすむ 「わぁ、わぁ、おめでとうございます」
あたる 「あ、ありがとうございますぅ」
やすむ 「くさっ」
あたる 「え」
やすむ 「あ、ごめんなさい」
あたる 「え、くさい? あれ」
やすむ 「いえ、体臭とかじゃなくて」
あたる 「え、え」
やすむ 「くんくん、くん、く、くさっ」
あたる 「え」
やすむ 「あ、これだ、これ、くさい」
あたる 「え、え、だっえ」
やすむ 「この下敷きくさいっす」
あたる 「そんな明確に」
やすむ 「どうしたんすか、え、なんで、普通に」
あたる 「いや、あの」
やすむ 「がまん、してました」
あたる 「いえ」
やすむ 「いや、だって、くさっ! これ、一朝一夕の匂いじゃないですよ、もっと根源的な部分でくさいっす」
あたる 「そんなに、そんなにその万物的な」
やすむ 「がまんしてたんですね」
あたる 「え」
やすむ 「自慢、したい、するために」
あたる 「そんな、いやだって、当たったし」
やすむ 「当たってたって、これ、このくささ、製造工程から疑うレベルっす」
あたる 「あのね、あの、人の物をね、そう、そんなにくさい、くさいって」
やすむ 「だって、当たる前までは、所有してなかったっすよね、くささの根源は、あなたにはないんですよ」
あたる 「いやいやいや、でも、当たったし、当てたのは私ですよ?ということはですよ、今は私のもので、そのわたしのモノをあなたわぁ」
やすむ 「ちょ、あおがないで、あおがないで、尊くないから、全然、仰がれても尊くない」
あたる 「尊いでしょうが」
やすむ 「推しは尊い、かもしれませんけど、私が問題視してるのは、その下敷きそのものなんですよ」
あたる 「不可分なんですから」
やすむ 「何がですか」
あたる 「この推しがプリントされた下敷き、推しと下敷きは別ですか?カレーとライスは別ですか?カレーとライスでカレーライスでしょう?カレーライス好きでしょう?」
やすむ 「話をすげかえないでください、わかります、その一体となっている以上、推しとほぼ同一視して、自分の所有物になったそれそのものに愛着をもつのはわかります、だがしかし、だがしかしですよ、その製造工程、あるいは企画者、このアウトプットにゴーを出した人たちはですね、この問題に気づかなかったのかと」
あたる 「テレワークの時代だから、現物はみていないのでは」
やすむ 「そこですよ!そこ!自分でもいま、気づいてますよね、現物を見て嗅いだら、あれ、これ、ヤバいなと、市場に流通させてはいけないものだなと、どうやって会社までもってきたんですか」
あたる 「まぁ、普通に包んで(何重にもなったビニール袋を見せる)」
やすむ 「ほら!ほら!やばいのだなと、すくなくとも、移動中、周囲に違和感を感じさせないようにするためですよね!喫煙者が携帯灰皿を入れる工夫と酷似してますよそれ!」
あたる 「タバコほどじゃないでしょう」
やすむ 「タバコもね、わたしね、体質的にね、苦手なんですけどね、それ以上のアトミック級のね、ヤバさです」
あたる 「そんなに」
やすむ 「どうするんですか」
あたる 「え」
やすむ 「どうするんですか、それ、体調が悪くなったら推し活だって支障がでるでしょう」
あたる 「…密封して、部屋に飾ります」
やすむ 「だめです!だめですよ、ダメよダメダメ」
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