僕の秘密と彼女の秘密
「僕の秘密と彼女の秘密」

【登場人物】
・黒田廻(くろだ まわり)
高校2年 守護霊の家族がいる。対馬とは幼なじみ。 
・井上瀬奈(いのうえ せな)
高校2年 新聞部。
・対馬真生(つしま まお)
高校2年 (休学中)。霊が見える。
・対馬真波(つしま まなみ)
真生の姉。交通事故で亡くなっている。
・佐々木(ささき)
黒田の親友。
・竹田鉄祭(たけだ てっさい)
何何寺(なんなんじ)の住職。黒田の恩師で叔父さん。

  (明転)
  ―大学内。黒田が廊下を歩いている―

黒田 「(誰もいない方を見ている)はいはい、よーく分かってますよ皆さん。さっきの問題は僕の凡ミスだよ。授業中くらい静かにしてっていつも言ってるよね?いや、お前のためって、そりゃありがたいよ。けど、お陰であんまり内容入ってこないから。今度から気を付けてよ、ほんと。」
  
  井上、スマホを持って恐る恐るついてくる

井上 「やっぱり、今誰もいないはずなのに誰かと喋ってた。私の思った通りね。黒田君には、何かが見えている。よおーし、その秘密私が全部写してやるんだからね。あ!今シャッターチャーーーンス・・・」

  井上がシャッターチャンスと言うと同時に黒田が戻ってくる
  井上の前で直立不動の黒田

井上 「も、もしかして、今の全部聞いてたとかはー無いよね?」
黒田 「まさか。君が僕の秘密を暴いてやるーなんて言ってたことを聞いてるわけないよ。」井上 「い!?ばれてる。」
黒田 「まあ、言ってなかっただけで、ずっと知ってたけどね。そういうこと企んでたこと。」
井上 「えーー!じゃ、じゃあ話が早く済むかもね。直撃インタビュー形式よ。黒田君は何が見えるの?妖怪?霊?それともそれ以外の何か?」
黒田「 ノーコメントで。」
井上 「ノーコメント・・それなら、最近大変な出来事か何かありましたか?人間関係のトラブルとか、バイト先とかで。」
黒田 「うーーん。ノーコメントで。」
井上 「え、ちょちょちょっと待ってよ!せっかく話す機会をもらったのにノーコメントなんて何しに来たのよ。」
  
  急に教室のドアが開く

井上「 え!?何?誰もいないのに勝手にドアが開いたんだけど!? 」
黒田 「あー。風のせいじゃない?最近風強い日多いし。(後ろに向かって)ちょっと、兄さん、かわいい子探してる場合じゃないよ。」
井上 「風、ああ!そうか!風かー。」
黒田 「(咳払い)話を戻そう。僕はインタビューしに君に話しかけたわけじゃなくて、君に忠告しに来たんだ。」
井上 「忠告?」
黒田 「うん。これ以上僕には関わらないでほしいんだ。」
井上 「関わらないでって。なら、黒田君の秘密教えてよ。」
黒田 「ゴシップネタばかりを学生新聞の記事にする君を僕は信用できないなー。」
井上 「それは・・」
黒田 「前は毎月の学生新聞が楽しみだったのにな。」
  
  黙る井上
  急にドアが閉まる

黒田「(後ろを見て)ちょっと、(何もない方を指さして)そこ!大きな音でドア閉めないでよ。え、そんなに嫌味に聞こえてたの?」
井上 「今度は何なの? 」
黒田 「ああ、その、だから、君に前の様な学校の為になるような記事を書いてほしいとは言わない。けど、今の君は、何かを怖がっている。それは分かる。じゃあ僕はこれで。」
  
  再び歩き出す黒田の背中を映す

井上「 わかってるよ、そんなこと。でも、前の記事だとみんな読んでくれない。笑顔になってくれない。批判されること以上の虚しさを、黒田君は知らないんだよ。」
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