バイ・ユア・サイド
初期型改良版
バイ・ユア・サイド
りん檎/作(生徒創作脚本)
【 登場人物及び出演者 】
[主人公] 五人は高校時代の同級生で、仲が良い。
川嶋紡 宇都宮市の小さな喫茶店「カイコ」を営む。
田中栞 都内の広告代理店で働くOL。
水野愛莉 スポーツジムでインストラクターをしている。
森崎美雪 都内のコンサル事務所で調査員として働いている。
横松琉生 都内の中堅企業で営業をしている。
塚田文雄 主人公の高校3年生時の担任の国語科男性教師。
牧野かなこ 横松を振った女子。(出演なし)
藤井皐月 今日の同窓会に不参加、主人公の高校時代の同級生。
小島源太朗 今日の同窓会に不参加、主人公の高校時代の同級生。
【 概 】
十年ぶりの再会を果たした高校時代の旧友たちは、宛先も差出人も書かれていない奇妙な手紙を目の当たりにする。そこには、一途に誰かのことを思いながら世界を旅する姿が描かれていた。それぞれの脳裏に浮かぶ、懐かしいあの日々。もう戻ることなどできない、あの日々。強く結ばれた思いが徐々に形を現し、輝きを取り戻してゆく。過去から、未来へ。明日も、この道を歩いてゆこう。
【 第一場 卒業式 】
エルスウェア紀行「世界にきづいて」F/I。緞帳アップ。
薄紫のあかりの舞台上は7人の影。
別れを伝え合いながら4人がはける。
藤井、小島が去りかけてお互いを振り返る。そして手を振り、はける。
残る川嶋が舞台をバーの店内に変えてゆく。
だんだんと明るさが増してゆく。
照明【バー】へ。
「世界にきづいて」F/O
おしゃれなBGM F/I
【 第二場 再会 】
ここは宇都宮市の一角にある小さな喫茶店「カイコ」の店内である。時期は年の暮れ、寒さの候。少し薄暗めの店内で、若きマスターはグラスを拭いて、
モノローグ。どこか緊張でつっかえつっかえな模様。
紡 ん、んん。いらっしゃいませ。み、みなさま。ここんばんは。喫茶カイコのマスター、川嶋と申します。って、わざとっぽいかな。本日は寒い中ご来店いただき誠にありがとうございます。しかも年末だからきっと皆んな忙しかっただろうな…さて、高校を卒業してから十年が経ち、さらに成人式以来顔を合わせないこと八年が経ち、そんな中、懐かしいメンツを僕のお店でお迎えすることができとても嬉しいです。(息を吸う)小島くんと藤井さんだけは生憎欠席との連絡を受けて。本当なら全員で、会いたかったな。…さて、最初のお飲み物はいかがいたしますか?当店では栃木県産の…
ドアのベルC/I
ドアが開いて田中栞が顔を覗かせ、入店。
服装はまさにOL、仕事が終わってそのまま来たようだ。
紡 …(牛乳をふんだんに用いたミル…)(ボソボソ)
栞 ごめんくださーい
紡 はっ、うわっ、…あっ、…田中さん?
栞 あ、紡くんだ。お久しぶり!よかった、ここであってたか、お店。…違うかと思ったぁー…
栞、コートを脱ぐ
紡 お久しぶり、田中さん。えぇ…そうか、やっぱり、わかりにくかったかな…お店の名前とか。ごめんね。
栞 んーと、いや、あのね、そんなことはないよ。
紡 そ、そう?
栞 だって、ほら、川嶋紡くんが開いたお店の名前がカイコだなんて、君の名前のそのままじゃない。いいね。
紡 あ、…気づいてくれたんだ。
栞 それはね。流石にそれくらいは。でもいいね。カイコで生み出されるコーヒーはまるで絹のような味わい、なんでしょ?
紡 いやいや、流石にそこまでは…まだいかないかな。まだ自分の淹れるコーヒーに納得できないこともあるし。これからもずっと勉強だよ。
栞 いつか絹みたいなコーヒーができたらいいね。
ドアのベルC/I
勢いよくドアが開いて水野愛莉が入店。快活な女性に見受けられる。
紡 あ。いらっしゃいませ。
愛莉 あー寒かった!やっぱりちょっと薄着すぎたよ…紡っちおひさ!店の名前、どゆいみ?あ、栞たん!おひさ〜!
栞 久しぶり愛莉…って、愛莉わからなかったのね名前の意味…川嶋紡くんが作ったお店の名前が、カイコなんだよ?
愛莉 ん?えー、カイコって何?つむぐっち脱サラしたんじゃないの?リストラされちゃったの??どっちなん?
ドアのベルC/I
ゆっくりドアが開いて森崎美雪が入店。上品で物静かな雰囲気だが、
心なしかウキウキしている様子。
紡 あ、いらっしゃいませ。…森崎さん。
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