歯車争奪戦
椅子取りゲームをする人間×5
椅子の数×4
家電×4
椅子を取るとその中のうちの一人が家電になってしまう。
家電になるのになぜ彼らは椅子取りゲームを続けるのか?
段々人が家電になっていく中、椅子に座れなかったものはどうするのか。
登場人物
不真面目系
意識高い系
疑問を抱かない系
抑圧系
絶望系
椅子が4つ並んでいる。
その前に立ち並ぶ5人の若者。
下手から順に、意識高い系、疑問を抱かない系、抑圧系、不真面目系、絶望系。意識高い系が最初に自己紹介を始める。
意識高い系「本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。一流大学エリート学部天才学科の意識高い系と申します。趣味はディベート討論会に出ること。大学のサークルでは、国際的な社会問題について仲間たちと議論をし、プレゼン力を高めました。全国口回る大会では、私が参加したチームが見事優勝し栄光を手にしました」
意識高い系、疑問を抱かない系に視線を投げる。
疑問を抱かない系、意図を理解し、自己紹介を始める。
疑問を抱かない系「私は普通大学プレーン学部一般学科の疑問を抱かない系と申します。趣味は音楽鑑賞です。在学中はボランティアでごみ拾いをしていました。人の役に立てることが好きです」
笑顔を振りまく疑問を抱かない系。
抑圧系、自分の番が来たことを理解して、話し出す。
抑圧系「あっ、わ、私は、趣味全開専門学校の抑圧系と申します。在学中に作成した私の作品のポートレートがこちらになります。御社が第一志望です。よろしくお願いいたします」
不真面目系、順番が来るが自己紹介の用意をしておらず、飛ばされる。
絶望系「絶望系。……私、もうこれで100回目なんだけど。この椅子取りゲーム」
唐突にシャトルランの音楽が流れる。不真面目系以外は急いで座るが、絶望系は不真面目系とぶつかって跳ね返される。しかし不真面目系は立ったまま。
意識高い系「そこの二人……君たち、しっかりやっておくれよ。座れる椅子がまだひとつ空いているじゃないか」
疑問を抱かない系「まあまあ落ち着いてくださいよ。彼ら、ぶつかっちゃって座れなかったみたいだし。次がありますって。ね?」
意識高い系「そうはいっても空いている椅子には限りがあるだろう?もたもたしているとあぶれてしまう。この競争社会という椅子取りゲーム、誰かを蹴落とさなければ椅子には座れない」
疑問を抱かない系「……」
不真面目系「ねぇ、これ本当に座る意味ってあるの?貴方たちは本当に自分が座りたいから座っているの?」
意識高い系「なんだと?」
疑問を抱かない系「意味か……考えたこともなかったなあ。だって、椅子を見つけて座るのが常識だし、そうしなきゃ生きていけないからねえ」
抑圧系「……私もそう思う。私、本当はフリーのイラストレーターになりたかったけど、両親がそれじゃ食ってけないからって……」
疑問を抱かない系「親御さん、否定的な人だったんだね。かわいそうに……」
抑圧系「うわあああん、疑問を抱かない系さあああん」
抑圧系、疑問を抱かない系に泣きつく。
呆れてその様子を見る不真面目。
意識高い系が口を開く。
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