whodunit?
「 whodunit? 」 作:つむぎ日向
登場人物 ・松本(男) ・東野(男) ・今野(女)
本編
〇会社内・昼
上手に明かり。今野が立っている。
今野、緊張した面持ちとどこか楽しそうな様子で語り出す。
今野M「12月のある日。わたしは、ある男性の机の引き出しに手紙を入れました。薄いピンクの封筒に小さなハートのシールで封。松本さんへと宛名を書いた、所謂ラブレターです」
下手に明かり。松本が立っている。
松本、淡々と語り出す。
松本M「12月のある日。引き出しを開けると封筒が入っていました。薄いピンクの封筒に小さなハートのシールで封。宛名は俺の名前で差出人の名前は無し。所謂ラブレターのように見える一通の封筒。
(一呼吸おいて)
捨てようと思いました。だって怖いじゃないですか。ここ、会社のオフィスですよ。学校の下駄箱とかならいざ知らず、引き出しの中ってことは勝手に開けたってことです。そんなの気持ち悪いでしょ。
でも正直、内容は気になるし、やっぱり開けてみることにしたんです」
今野M「問題。弓道から点を取った部屋ってど~こだ。そこに行け」
松本M「「なぞなぞ」でした」
今野M「彼がミステリー好きだと聞いたので、わたし頑張って、すぐには読み解けないように暗号で書いたんです」
松本M「すぐに解けました。弓道(キュウドウ)から点を取るとキュウトウ。つまり給湯室です。
でもやっぱり無視することにしたんです。だって小学生でも解けそうな「なぞなぞ」ですよ。いくらミステリ好きだからって、これじゃ興醒めもいいところです」
今野M「あれから何日か経ったのに動きがありません。そこでわたし気が付いたんです。
難しすぎたんだ、って。だからすぐにメッセージを送りました」
松本M「また引き出しに同じ封筒が入っていました。一応中を読んでみると」
今野M「キュ、ウ、ド、ウから濁点を取ると部屋の名前になるよ」
松本M「ヒントを出されました。ってか、ヒント出すの下手過ぎだと思いませんか?これもうほとんど答えじゃないですか。
屈辱的で頭に来ました。こうなったら、必ず犯人を捕まえてやる。この、千葉のエルキュール・ポワロと呼ばれた俺の名にかけて。そう強く決心しました。
すぐに暗号の指示する通り給湯室に行くと、そこにあったんです。また同じ封筒が」
今野M「第2問!」
松本M「また「なぞなぞ」でした。ってか、第2問って何問あんだよ!?」
今野M「24問作りました。暗号作りってやってみると意外と楽しくて、途中から本来の目的を忘れ、作っては隠し作っては隠し。どれも簡単には解けませんよ。
わたしは、ウキウキしながら最後の場所で彼を待ちます」
楽しそうに捌ける今野。
松本M「すぐに解いて次の場所に行きました。するとそこには第3問の封筒。そこから第10問までは解きましたが、流石にこれ以上は付き合いきれない。そう思った時に思いついたんです」
下手、松本の隣に明かり。東野がウキウキした様子で歩いてくる。
東野 「松本君。僕に何か用かな?」
松本M「彼は同期の東野。彼もミステリ好きで、一緒に脱出ゲームにも行くような仲ですが、彼はとにかく勘が悪い。だから毎回、俺が全部解くことになるんです。それでも彼は」
東野 「松本君はすごいね。よっ、千葉のエルキュール・ポワロ!」
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