チグとハグ
ハギ:藍色の夜空に、輝線を引いて星が流れる。
ハギ:幾つも、幾つも。
ハギ:この流星群を見るたび、何度願っただろう。
ハギ:あなたに会いたい。
ハギ:願いは叶えられる事は無かった。ずっと。
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チグ:「君は全く分からず屋だなぁ!旅をするなら一人より二人の方が良いに決まってるだろ?!現に君が我楽多兵士に壊されかけた所を助けたのに感謝のひとつもないのかよ!?」
ハグ:「別に頼んでない」
チグ:「助け合いって言うのは頼まれたからするもんだけじゃないんだよ!それに助けられたら礼ぐらい言うべきだろ!」
ハグ:「ありがとう」
チグ:「えっ、ああ、うん。どういたしまして」
ハグ:「これでいいか。話は終わりだ」
チグ:「あああっ、まだ終わってないだろぉ!!話は最後まで聞けよ!」
ハグ:(ー冗談じゃない)
ハグ:「しがみつくな、離れろ…っ」
チグ:「ぜっ・た・い、離さんからなぁぁ…!」
ハグ:「何なんだお前は……!」
チグ:「よくぞ聞いてくれた!僕の名前はチグだ!この世界に捨てられたばかりでまだわからないことだらけだが、僕の目標はただひとつ!神様に会うこと……って、どこ行くんだ君ぃ!!」
ハグ:(冗談じゃない。ー俺を振り回すのは、この世界で一人だけで十分だ)
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チグ:「我楽多兵士は危険だ。君もそう思うだろ、ハグ」
ハグ:「ハグってなんだ。誰だ」
チグ:「君が名前も教えてくれないから勝手に呼ぶことにした。チグとハグ。チグハグ。なんかいいだろ。相棒みたいで」
ハグ:「チグハグって揃わ合わないって意味だろ」
チグ:「何か間違っているか?」
ハグ:「……………………」
チグ:「なんも間違ってないと大いに賛同を貰った所で、話を本題に戻し…って、ちょっと待てどこに行く」
ハグ:「俺の勝手だ。お前には関係ない」
チグ:「まさかまた追いかけっこする気か?僕の足には勝てないってもう何度証明したらわかるんだ?」
ハグ:「だったらご自慢の足で我楽多兵士からも逃げればいいだろ」
チグ:「そりゃ逃げるさ。でももしもがあったらどうするんだよ?」
ハグ:「知るか」
チグ:「知っておいてくれよ。そう。そんなもしもの時も、君と、君の持っているそのレンチがあれば、多少壊れたとしても治してくれるだろ?」
ハグ:「なんで俺がお前を治さなきゃならないんだ」
チグ:「それは相棒だからだろ!」
ハグ:「相棒になったつもりはない」
チグ:「そう言うと思ったよ!…でも君は見捨てないよ。だってそうじゃなきゃ、この世界で何でレンチなんて持ってるんだ?」
ハグ:「少なくともお前の為じゃない」
チグ:「そんな事は知ってるよ。でも。それでも、君は見捨てないさ」
ハグ:「ーー当たり前みたいに言うな」
チグ:「ごめん。でもこう言ったら見捨てにくくならない?」
ハグ:「余計見捨てたくなったな」
チグ:「頼むよ、ハグ。僕はどうしてもー神様に会いたいんだ。…君だって神様に会いたいだろ」
ハグ:「……だったら戦争に行けよ」
チグ:「終わりの見えない戦いなんて、僕はしたくない。でも戦いに行かなくても、いつか壊れてしまうだろ。その前に、どうしても僕は会いたいんだ」
ハグ:「俺は…」
チグ:「ん?」
ハグ:「神様に会いたいなんて一度も思った事がない。俺をー俺らを棄てた奴になんか会いたくもない」
チグ:「ハグ、僕は」
ハグ:「でも。会いたい奴なら、いる」
チグ:「え?」
ハグ:(この世界は、救いの無い神様の玩具箱。こんな世界でも、かけがえのない奴がいた。最初に俺がレンチを持ったのも、そいつの為で。……会う前に壊れたくない)
ハグ:「俺も同じだ。その気持ちだけは」
チグ:「ならいいだろ?!会えるかはわからないけど、君がそいつと会えるくらいまでは一緒にいてもさ!」
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