地獄いい所
地獄いい所

小野奈緒
普通の女子高生のはず。自ら命を絶ち裁判を受けている。生前は優秀な生徒だったようだ。
世の中を舐め腐った目で俯瞰している。
クールというよりかは生意気。
閻魔大王
天才がゆえの奔放さ。無邪気で何も考えていないようで常に人々のことを考えている。
キャッキャウフフなタイプ。人の心に土足で踏み込むような物言いだが自分の心の内は明かさない。まさに神様といえる人物。

苦労人。鬼の中では凡人よりではあるが閻魔大王の補佐役までのぼりつめた努力家。
長年、閻魔大王の補佐役をしているが人間の心が理解できない。かといって冷酷というわけではなくただ理解の範疇を超えているだけ。

厳しい。教育虐待に近いことを奈緒に強いていた。言葉での圧力が主だったようだ。その他はいわゆる「普通の」母親。

菊と閻魔大王は死後の世界の住人のため生死については楽観的である。

開幕

舞台中央。
奈緒、自殺のモーション。
暗転

明転

奈緒「ここは、どこ?」
閻魔大王「お目覚めかい?」
奈緒「誰!?」
菊「閻魔大王の御前ですよ。ちゃんと座りなさい。」
奈緒「え!?閻魔大王?てことは死んじゃったのあたし。」
閻魔大王「死んだよ。」
奈緒「まじか。」
菊「ここで自我が戻るなんて災難な人ですね。」
奈緒「ここで?どういうこと?自我?てか、どこここ?」
菊「いっぺんに質問しない!現代の人はこれだから...。(ため息)仏教徒の人間は死後、十王による裁判を受けます。今の貴女は五番目の裁判、つまり目の前におられる閻魔大王の番です。本来なら自我を取り戻すのは全ての裁判が終わった後なのですが....あなたの場合、不運にもここ、閻魔殿で取り戻してしまったというわけです。」
閻魔大王「さっすが菊ちゃん。説明が上手いね。まぁそういうことだから。」
奈緒「そういうことってなに?あたしこれからどうなるの?」
閻魔大王「ほかの亡者と同じように私に裁かれるんだよ。そんで次の裁判に回される。」
奈緒「何も悪いことしてないのに何回も裁かれるの?」
菊「死んだら仏教徒は皆、裁判を受けるんですよ。」
奈緒「えー……。」
閻魔大王「現代っ子はその辺疎いよね。」
菊「疎すぎるんですよ。」
奈緒「いや、さすがに閻魔大王は知ってるよ?でもさ、こんな感じなの?なんか、もっとこう、いかついのかと思ってたから。」
閻魔大王「あはは〜。イメージ像って人それぞれだよね〜。」
菊「笑いごとじゃないですよ。閻魔大王の威光なんてあったもんじゃない。イメージ像云々の前にゆるすぎるんですよ。」
閻魔大王「菊ちゃん厳しいねぇ。どこもこんなもんだって。」
菊「んなわけないでしょう。やはりこんな大王ではだめか。」
閻魔大王「さりげなくディスってる?ディスってるよね?」
菊「...。」
閻魔大王「無視は良くない。」
菊、鼻で笑う。
閻魔大王「私、上司だよね?」
菊「小野奈緒さん理解できました?」
奈緒「えっと、つまりあたしは死んで今裁判を受けなきゃいけないってこと?そういうことであってる?」
閻魔大王「そーいうこと!信じられないよね〜。」
奈緒「そりゃ信じられないけど、まぁあれで死ななかったらおかしいよね。」
閻魔大王「自覚あるんだ。」
奈緒「まぁ一応。」
菊「ご自身で理解されてると思いますが確認も含めて貴女の死亡理由を述べさせていただきますね。小野奈緒、17歳、西戸高校の2年生。死亡理由、母親からの虐待に耐えかね自殺。それについての遺書も遺している点から計画的な自殺だと考えられる。」
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