カタコル山地
『カタコル山地』
小烏奈都
登場人物
・鳥山(とりやま)さん
・会社員
・大学生
・治癒の神(魔物形態)
・治癒の神(女性形態)
・ナレーター
〇カタコル山地 山麓の森
N(ナレーター)「この国にはカタコル山地という霊山が
鎮座する。そこには伝説の遺物(いぶつ)カタコーランが隠されており、多くの者が足を踏み入れていた」
登山服にリュックを背負った鳥山さん。肩を揉んだり、叩いたりしながら、気だるげに登場。
鳥山さん「あー、だるい…。バキバキの肩にリュックは堪(こた)える」
唸り声のような風が吹く。
鳥山さん、ビクッと背を丸めて固まり、首を回してストレッチしつつ、辺りを見回す。
鳥山さん「・・ッ!!木が手招きしてるみたいだし、人型の奇妙な石もそこかしこに落ちてたし。薄気味悪いな。
さっさとカタコーランなるものをゲットして、こんな山、おさらばしてやる!」
行く先に、灰色の物体。
鳥山さん「うおぉッ!も、もお、言ってる傍から、また変な石が」
会社員「うあーー!やってしまった!」
鳥山さん「ぎゃ!!い、石じゃない」
手を一文字に広げて驚く鳥山さん。
会社員「はい?」
傍のリュックを持って正面へ向き直る会社員。
上はグレーのスーツ、下は登山用のズボン。組んだ膝の上にノートパソコン。
鳥山さん「いや、その、石じゃないって」
会社員「石はパソコンやらないでしょ?それに、なぜ一文字(いちもんじ)?変な人だなー」
鳥山さん「いや、驚いてもこれ以上、上がらなくて」
会社員「ふーん」
会社員、シレッと鳥山さんに近寄り、鳥山さんが広げる腕を平行より上へ持ち上げようとする。
鳥山さん「ちょ、やめっ、イテテテテテ」
会社員「あ!イッてッ!今ので筋が…」
会社員、自分の肩をおさえる。
鳥山さん「いや、あなたもですか…」
会社員「それ以外、こんなとこに来る目的ないでしょ。この山の伝説を聞きつけて、私はね、忙しい合間を縫ってやって来たんだ」
鳥山さん「そうなんですか。お忙しいんですね」
会社員「と言っても、ただの会社員だけどね…。あああああ」
会社員、うずくまる。
鳥山さん「ちょっ、急にまた。あ、そっか。さっき騒いでましたよね?」
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