プラナリアになりたい
「プラナリアになりたい」 作・東 詩依




【登場人物】

 莉衣
 母親
 先生




   舞台は高校の進路指導室である。
   舞台下手に入口ドアがあり、中央には長テーブルとパイプ椅子が三脚置かれている。
   また、室内には棚が置いており、その中には備品が並んでいる。


◯進路指導室(午前)


   三者面談の日。
   テーブルの上には進路希望調査の書類が置いてあり、先生が眺めている。
   ノックの音。
   先生、書類を片付けて。


先生 どうぞ。


   扉が開く。母親と莉衣が中に入ってくる。
   母親、先生に一礼し。


母親 本日はどうぞよろしくお願いいたします。(莉衣に)ほら、挨拶なさい。
莉衣 ……よろしくお願いします。
先生 こちらこそよろしくお願いします。さ、どうぞおかけになってください。
母親 はい、失礼します。


   先生と向かい合うように、母親と莉衣は席に着く。


先生 さて、本日は莉衣さんの進路希望についてのお話になるのですが……。莉衣さん、お母さんには進路のこと話してる?
莉衣 (首を横に振る)
先生 そうか……。
母親 この子ったら私が聞いても教えてくれなくて……。お母さんにはわからないと思うからって。そんなの、ねえ? 言ってもらわないことには判断できませんでしょう?
先生 それは、まぁ。
母親 ですよね?
莉衣 きっとわかってもらえないよ。
母親 まぁ、またそんなこと言って。
先生 莉衣さん、実際話してみないことには、それこそどうなるかわからないんだ。言いたくなかったら先生から伝えようか?
莉衣 ……いい、自分で言う。
先生 そうか。
莉衣 お母さん。
母親 うん。
莉衣 私……プラナリアになりたい。


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