甘噛探偵団1 忘れん坊と結成譚
(後輩)甘噛先輩

(甘噛)なぁに?後輩くん

(後輩)先輩はいつまで先輩なんですか?
ずっと3年生やってるらしいじゃないですか

(甘噛)ハッ!またつまらない話?
私がこの学園でずっと探偵部をやってあげてるのよ?無給で探偵を雇える、この学園が感謝するべきだわ

(後輩)誰も感謝してないですよ。呆れてるんです、みんな。

(甘噛)黙りなさい、私が浴びるのは賛美だけよ。礼節を弁えない奴は追放よ追放!

(後輩)その前に先輩が留年のしすぎで学園から追放されますよ

(甘噛)なんですって?

(宇都宮)ちょっと何してるんですか、先輩方。というか、甘噛先輩に至っては今日は忙しいとかなんとか言ってたじゃないですか?

(後輩)え?別に先輩、この後の用事なんてないんじゃないですか?僕、何も聞いてないですよ。

(甘噛)うるさいわね!

(後輩)どうせ今日も、この部室でダラダラ過ごして、チャイムで帰宅するのが関の山じゃないですか?

(甘噛)はぁーー〜?私たち探偵部は、いつ新しい依頼者がどんな時に来てもいいように、この古臭い物置部屋同然の部室で部活動をやっているというわけよ。よろしくって?

(後輩)よろしくないですよ…はぁ…せめてこの部室がもう少し広ければなぁ…

(甘噛)そうよ!ダイヤモンドの原石をこんなウサギ小屋同然に閉じ込めてるのよ。この学園、どうかしてるわ。

(後輩)いいですね、ホープダイヤモンドとは言ったものです。

(甘噛)あら、知らない単語だわ。ホープダイヤモンドって何かしら?

(宇都宮)先輩はご存知ありませんか?
ホープダイヤモンドは、現在アメリカの博物館で厳重に保管されている宝石のことです。

(宇都宮は舞台袖から出てきて、甘噛と後輩の間のテーブルにお茶を出す)

(甘噛)あら〜?気が利くじゃない!
後輩にしては上手いこと言ったわね!私がそんな宝石だなんて…

(宇都宮)で、す、が。厳重に保管されているのには理由があるんです。ホープダイヤモンドはホープという名前とは裏腹にいわく付きでして。
世間では『呪いの宝石』として名を馳せてますね。
なんでも、手にした持ち主を次々と破滅させていくんだとか。それで行き着く先が博物館ってことです。

(甘噛)ふーん、成程ね、来なさい後輩。お前の頭でスイカ割りをしてあげる。

(ソファ横のバットを振り回す)

(後輩)嫌ですねぇ、先輩。冗談がお上手なんですから

(甘噛)ふふ、冗談なんてね、ふふ、周防くんの存在を冗談にしてあげようかしら?

(宇都宮)まったくー、先輩方は仲良しなんですから。
そんなことよりですよ、こいつ(5通)はなんですか?
生徒会から届いてましたよ。

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