ライフ
「ライフ」
吉原風月(よしはらふづき)(女)…高2通信制高校に通っている。中学生の頃に不登校になった。父嫌い。繚花に嫉妬。
井上奏斗(いのうえかなと)(男)…高2。病気持ちで死も近いけれど生きたい。暁斗を可愛がっている
井上暁斗(いのうえあきと)(男)…小学生。奏斗の弟。奏斗大好き。だからこそ無理を言ってしまう
吉原繚花(よしはらりょうか)(女)…高2。風月の双子の姉。何もかもが完璧。父嫌い。風月好き。
吉原父…2人の父親比べるような発言しかしない。自慢できる子供が欲しかった
吉原母…風月のことを受け入れているつもり
下手側に吉原家、上手側に井上家
照明、下手側のみ(吉原家)
吉原父「そういえば、今日通知表返される日だったよな」
繚花、無言で渡す。
吉原父「おー、今回もオール5か。繚花はすごいな!勉学も運動もこなせて。出来損ないの妹と大違い」
繚花「別に。」
吉原母「そんな謙遜する必要ないじゃ〜ん。お母さん、繚花の頑張り知ってるから。風月は今回はどうだった?」
風月「えっと……。」
風月、通知表渡す
吉原母「あら、通信制の成績の付け方ってちょっと変わってるのね。」
繚花「レポートもスクーリングも全部合格って書いてある。頑張ったじゃん!」
吉原父、風月の通知表を奪い取る
吉原父「こんなの当てにならん。偏差値のない学校なんて……。しかも私立。かたやお姉ちゃんである繚花は県内屈指の公立の進学校で成績トップ。ほんと、お姉ちゃんが可哀想。こんなのが双子なんてね〜」
吉原父出て行く
繚花「気にしなくていいからね。」
吉原母「お姉ちゃんの言う通りだよ!風月、中学生の頃より成長したじゃん。一年前までずっと引きこもっていたのが想像でk……」
風月「同情なんていらない」
風月出て行く
吉原家みんな捌ける
照明、上手側だけ照らす(井上家)
暁斗「兄ちゃん!おかえり!ずっと待ってたんだよ。この間で入院するのは最後って言ってたくせに!」
奏斗「すまんな。でも、今回こそはもう戻らないからな」
暁斗「ほんと?」
奏斗「ほんとさ。」
暁斗「絶対?嘘つかない?」
奏斗「兄ちゃんが嘘ついたことあるか?」
暁斗「退院する度についてる。」
奏斗「あ〜、うん。何も言えねえな。けどこれからはもう戻る予定はない。だから兄ちゃんと暁斗ずっと一緒に居れるよ。」
暁斗「ずっと?ずっとっていつまで?」
奏斗「ずっとはずっと。終わりが来るまで」
暁斗「曖昧すぎ」
奏斗「まあ、世の中には濁しておくべきこともあるんだよ」
暁斗「意味がわからない」
奏斗「そんなことより、一緒に遊びに行こ。暁斗、お兄ちゃんのお見舞いに来てくれたとき『ゲーセン行きたい』って言ってたじゃん」
暁斗「いいの?行きたい!」
奏斗「そうと決まれば行きますか〜」
暁斗「よっしゃー!」
奏斗、暁斗捌ける
暗転
奏斗、風月花道に出る
風月は下手側、奏斗は上手側。
(その間、舞台上を屋上っぽくする)
bgm
照明、風月を照らす
風月「幼少期は双子の姉と仲良かった。両親、先生や友達、近所の人など周りからは『才色兼備な双子』とか『完璧な双子』とか言われて育ってきた。けれど私が中学生の頃にいじめられて不登校になった頃から父は私に口を聞いてくれなくなった。」
照明、奏斗を照らす
奏斗「俺は昔からずっと入退院を繰り返していた。両親は殆ど俺の看病ばかりだった。初めて入院したあの頃、母は弟を妊娠して半年ぐらいのときだった。けれど、俺の看病をほぼ毎日してくれた。『奏斗はもうすぐお兄ちゃんになるんだよ』と言いながら」
照明、風月
「それ以来、仲良かった姉は妬ましい存在になっていった。私が父から罵倒されているのに姉は罵倒どころか称賛されて……。父からだけじゃない。母からも、先生からも、同級生からも……。」
照明、奏斗
「初入院から数ヶ月が経ち、弟の暁斗が産まれた。俺も無事退院し、しばらくは幸せな日々が続いた。けれども、また5年が経ち、俺は再び入院することになった。両親は俺に構ってばかりのことも多かった。それでも暁斗は俺のことを受け入れてくれるどころか懐いてさえくれた。」
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