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『星』

星
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　作:中林幸穂

カロン
イオ

ティエラ

ポーシャ
ディア

レダ

Scene0

　　オルゴールの音が聞こえる。
　　レダが幼い少女たち（カロンとイオ）に本を読み聞かせている。

レダ　　　ある少女は、深い後悔と自責の中で、しかし未来への希望を託しました。
　　　　　また、ある少女たちは、敬愛し、師事し、そして憧れていました。
　　　　　また、ある少女は、揺るがぬ一つの決意を持っていました。
　　　　　そして、ある少女たちは、終わりゆくその星を愛し、その定めを受け入れようとしていました。これは、少女たちの紡ぐ、とある星の終末の物語です。
カロン　　ねぇ、先輩先輩。
レダ　　　なに？　カロン。
イオ　　　星はいつか壊れちゃうんでしょう。
レダ　　　そうだね、イオ。
イオ　　　壊れたあとはどうなっちゃうの？
カロン　　消えちゃうの？
レダ　　　……消えたりはしないよ。役目を果たせなくなった星は、壊れゆくのが運命だけれど、決して消えるわけじゃない。星は壊れ塵となり、宇宙を漂い、また新たな星の元になる。そうして宇宙は回っているんだ。ずっと。
イオ　　　じゃあ、先輩

　　オルゴールの音、止まる。

レダ　　　私はそろそろ行かないと
カロン　　もう、行っちゃうの。
レダ　　　時間だからね。
イオ　　　待って
カロン　　先輩

　　レダ、オルゴールを二人に渡す。

レダ　　　二人とも、これを。いつか返しに来て。私の、大切なもの。……もう、行かないと。それじゃあ、またいつか、逢える日まで。　ありがとう、カロン、イオ。
　　　　　
　　オルゴールを前に、二人向かい合うカロンとイオ。

Scene1

海沿いのゴミ捨て場。あちらこちらに様々なものが捨てられている。その中、カロンとイオ、ごみを片付けている。

イオ　　　カローン
カロン　　……
イオ　　　おーい
カロン　　……
イオ　　　カーローン

　　カロン、イオに気づかずに遠くの空を眺めている。

イオ　　　カロンってば

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