また会うときには葡萄酒を
The Best Friends on the Battlefield
開幕。

【 砂漠/夜/護送中 】

ベオウルフ率いる小隊と王子が、急いで移動している。
敵国・イガレアの者に追われている。
二人は似た装いをしていて、フードを深く被っており、顔は見えない。

ベオウルフ:王子様、先にお逃げください。ここは私が食い止めます。
王子:君一人で?
ベオウルフ:でないと貴方の警護が手薄になります。残りの者はみな連れて行ってください。
王子:いや、それは……

銃声音。

ベオウルフ:(小声で)今の音……西北西の方向か。(逃げるよう促すように)王子様!
王子:……でも。
ベオウルフ:私が誰だかご存知でしょう?
王子:……ああ、分かった。あいつらの相手は君に頼む。
ベオウルフ:お任せください。

銃声音。

ベオウルフ:あっちの方向にもか……。(王子に一時の別れを告げる)では!


ベオウルフ退場。

王子:よし、このまま砂漠を一気に通過するぞ!皆の者、進め!……まさかこのタイミングで刺客を寄越すとは。本当に、あいつ一人でどうにかなるのか……?

銃声音。

王子:なに、あっちからも……

銃声音。

王子:うわあああ!

王子、倒れるも、のろのろと立ち上がる。
暗転。

【 ナレーション/イガレアとラクール 】

明転。ピンスポットの中に、ラクールがいる。

ラクール:(ナレーション)小国・ラクール王国は、イガレアの実質的な支配下にあったが、二国間の貿易ゆえに栄えており、友好的な関係を保っていた。しかし5年前、イガレア国家の支配者が変わって以来、関税を不当に増やすなどラクール王国に対して不誠実な態度をとったため、対立関係になっていった。
そして3年前、業を煮やしたラクール王国の商工議会の商人たちは、イガレアの要人を葬ってしまう。結果、二国間の関係は最悪なものとなり、ついに戦争が始まった。ラクール軍は小規模ながらも、急速に進んだ軍備拡張や、『ベオウルフ』を始めとする強力な戦士の活躍によって、大国・イガレアに対して善戦する。さりとて小国、軍備も限界に近付き、ラクール国家はゴダル共和国に協力を要請しようと試みたが……。

暗転。

【 砂漠/昼/2人の出会い 】

明転。ラクールは砂漠の中央をとぼとぼと歩いている。

ラクール:(乾ききったのどから辛うじて声を出し)水……(歩みがどんどんと遅くなる)エミリー…さすがに今回は、僕でもやばそうだ……。ラクールもこれで終わりか……いや……彼がいれば……

ラクールは倒れる。しばらくすると、そこにイガレアが現れる。

イガレア:(焦った様子で)おい、お前。
ラクール:(乾いた声で)……水……。
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