一人語り「写らないはずの女」
タイトル:「写らないはずの女」
登場人物:
語り手(男子または女子、自由)
小道具(任意):
スマートフォン(カメラ付き)
台本:
(※静かに舞台中央に歩いてきて、少し間を取る)
演者は語り手となって、観客に語るように話す
みなさん、今日はようこそお越し下さいまして有難うございます。
それではひとつ、皆様にちょっとした話を致しましょう。
まぁ、信じるか信じないかは・・・って、いわゆる都市伝説ってやつです。
(少し前を見て)
とある高校で起きたというのを小耳にはさみましたのでそれをご紹介します。
僕の先輩の友達の、そのまた友達の話
ありがち? まあ、そうなんだけど……今回は、ちょっと違います。
その高校には、"映らないはずの女" という都市伝説がありました。
簡単に言えば――「スマホで写真を撮ると、絶対に写ってないはずの女が写る」という話。
写ってるわけじゃなくて、「写ってるけど、見えてない」んだそうです。
意味、わかります? 写真を見たときには、“そこ写っている人が居ない”。でも、次にまた写真を見ると、“そこに居ないはずの人が居る”って事です
(観客に視線を向ける)
ね? ちょっとゾクッとするでしょ。
で、その噂を聞いて、ある男子生徒――たとえば仮に“コウタ”くんとしましょうか――
コウタ君が、ちょっとした肝試しのつもりでその写真を撮ったんです。旧校舎の階段、夜に忍び込んでね。
彼は友達と二人で、その階段の踊り場を背景に自撮りを何枚か撮ったそうです。
でも、その時は、何も起きませんでした。
で、次の日。学校でみんなに写真を見せたんだけど――
ある友達が「あれ? これって、もう一人写ってない?」って言い始めました。
画面を拡大すると、確かに階段の上の方に、髪の長い女子生徒が……うつむいて立っているんです。
制服は、今のとは違う昔のデザイン。顔は髪で見えない。でも、確かに立っていました。
・・・でもね、変だったのは―
その写真、さっきまでコウタくんが確認したときには、自撮り以外に人の姿は映っていなかったんです。
(歩きながら)
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