バス停。
『バス停。』
《あらすじ》
バス停に居合わせた二人。なかなか来ないバスについての話題から、お互いの心理に触れるモノへと移り変わっていく。そして――
《登場人物》
紫織:名前=七渡 紫織(ななわたり しおり)
備考=バス停に居合わせた女。
緋絲:名前=階 緋絲(きざはし あかし)
備考=バス停に居合わせた男。
◇◆◇◆◇◆◇
紫織と緋絲がバスを待っている。
紫織:うーん。
緋絲:…………。
紫織:……ねぇ。
緋絲:はい?
紫織:なかなか来ませんねぇ、バス。
紫織:もう結構待ってると思うんですけど。赤信号にでも引っかかってるのかなぁ。
緋絲:さぁ。いつもだいたいこんなものでは?
紫織:普段、もうちょっと早いですって。
緋絲:そうなんですか。僕はよく知りませんので。
紫織:そうなんですか?
緋絲:そうなんですよ。
間。
紫織:協調性無いって言われません?
緋絲:言われませんね。少なくとも面と向かっては。
紫織:もしかして何かあったんですかね? バス。
間。
緋絲:協調性無いって言われません?
紫織:言われますねぇ。面と向かって。
緋絲:そうですか。
紫織:そうなのです。
紫織:えへへ。
緋絲:…………。
紫織:なんか私に掛けるべき言葉は無いのでしょうか?
緋絲:ありませんね。
紫織:ありませんか。
緋絲:ありませんよ。
紫織:頭のどこにも?
緋絲:ありません。
紫織:心のどこにも?
緋絲:ありません。
紫織:この世のどこにも?
緋絲:ありません。
紫織:いや、この世のどこかにはありますって、そんな簡単に諦めないで下さいよ、夢を。
緋絲:夢は夢。寝言は寝てから言いましょう。
紫織:夢じゃ無いんです! これが現実なんです!
緋絲:酷い現実だ。
紫織:ええ、でもそんな現実に目を背けず、真剣に探してみて下さいよ!
緋絲:ありませんね。探す価値が。
紫織:ひどい! 心が傷つきました!
紫織:そんな言い方ありませんよね?
緋絲:ええ、ありませんよ。あなたの価値と同じく。
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