セカイと私。
『セカイと私。』
愚鈍なヒーローと愛の深すぎる恋人の喧嘩が行き着くのは……。
◆あらすじ◇
「世界と私どっちが大事なの!?」
恋人のそんな問いかけに曖昧な返事をするヒーロー。世界の平和を真摯に見つめる彼は、しかし恋人に向き合おうとしない。そんな姿勢に深く傷ついた彼女は、彼と激しく言葉を交わし、その果てに愛する彼の為にある結論に至る。
◇注意◆
最初から最後まで恋人がぶち切れてます。
ジャンルについてはダークコメディ?サイコホラー?ヤンデレ?くらいだと思います。
短編作品。
◇登場人物◆
マモル:名=君尾 真守(きみお まもる)
世界への愛に生きるヒーロー。すごく強い。ワーカーホリック。
ユイ:名=末一 ゆい(すえいち ゆい)
真守の恋人。愛だけあればそれで良い。愛がすごく強い。
◆◇◆
夜の公園。鳴りっぱなしのスマホを持つ女ユイ。
スマホを取り上げられて唖然とするマモル。
二人が向かい合っている。
ユイ:世界と私どっちが大事なの!?
マモル:ユ、ユイ……
ユイ:あなたはいつもセカイセカイって、私のことを置き去りにして世界のことばっかり守ろうとするけど、私のことは大事じゃないの?
マモル:そんなこと無いよ、もちろん君のことは大事だ。
ユイ:じゃあ、愛してる? 私のこと。ねぇマモル!
マモル:愛しているよ。愛してる、もちろんさ。な? 頼むから落ち着いてくれ。愛してるから。
ユイ:どれくらい愛してる?
マモル:え?
ユイ:どれくらい私のこと愛してるのマモル? ねぇ!
マモル:そ、そりゃもちろん世界一愛して……
ユイ:今世界の話なんてしてないでしょ!
マモル:あ、え、ごめん、
ユイ:結局あなたはいつもそう、私を愛してるって言いながら、必ず世界を引き合いに出す。世界を言い訳にする。
マモル:そ、そんなこと無いよ、君のことをちゃんと愛してる。嘘じゃない。
ユイ:私のことを? 私のことも、の言い間違いでしょう?
マモル:僕は何も間違えてなんていない。君のことを正しく愛してるつもりだ。
ユイ:あなたの正しさなんて糞食らえだよ! ねぇ、じゃあ聞くけどさ、さっき電話に出て直ぐ飛んでいこうとしたのはどういうつもりの何だったの? 何するつもりだった?
マモル:それは。
ユイ:何? あなたが正しく答えたら怒らないから、ちゃんと答えて。
マモル:世界を救うつもりだった。
ユイ:は? ふざけてんの?
マモル:ふざけてない、僕は真面目だよ。
ユイ:さっきばかりじゃ無かったの? 私が一番だって。
マモル:ああ、君が一番だ。
ユイ:私達今さっきまで何してたか分かる?
マモル:それは。
ユイ:デート。しかもあなたから誘ってきたデート。
マモル:ああ。そうだね。ごめん、でも僕は世界を救わなきゃいけないんだよ!
ユイ:あのさ、今そんなことどうでも良くない? なんで世界救う話とかしてんの? 私達の話をしてるの。だったら世界なんてどうでもいいじゃない。
マモル:そんな訳ないだろ。世界が大変なことになったら君にまで被害が及ぶかも知れない。世界を守らなかったばっかりに君が酷い目にあったり、辛い思いをする。僕はそんなの耐えられない!
ユイ:マモル、私のことを心配して世界を?
マモル:そうさ。君の生きるこの世界を僕は守りたい。
ユイ:マモル……そういうの詭弁って言うの知ってる? 私を理由にすれば私の気が済むとか思った? 世界を救いたいのは私の為じゃ無くてあなたのためでしょ。
マモル:そ、そんなことは無いよ! 君のためなんだ! 僕は君のために世界を守るんだ!
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