エレベーター【怪談】。
『エレベーター【怪談】。』

エレベーターなのに「かいだん」というボケは置いといて、エレベーターと鏡をモチーフにした怪談です。
語り手の言葉とオチが軽いので、多分コメディ。異論は認める。

▲あらすじ▽
仕事終わり、いつものようにエレベーターの鏡で目の下のクマをチェックしていると、誰かが乗り込んできて……。そういう下りの怪談です。

△登場人物▼
僕:語り手。名前は後藤。

 △▼▲▽

僕:エレベーターの中ってよく鏡あるじゃないですか。

僕:姿見みたいに大きいやつとか、上の方にちょこんとついた小さいカーブミラーみたいなやつとか。

僕:あれって身嗜み整えるためとか防犯目的だとか言ったりしますけど、ほんとのところは車いすの人が利用した時、後ろ向きで出るのに便利なように、みたいな理由あったりするそうですね。

僕:僕があの鏡でチェックするの大抵目の下のクマなんですけどね。

僕:さておき、僕の職場のエレベーターにも足までうつる大きな鏡あったんですけど、これはその職場のエレベーター――呪いのエレベーターの話。

僕:さっきも言いましたけど、僕、エレベーター乗るといつもクマチェックするんですよ。

僕:というのも、仕事が繁忙期で残業続いてて、あんまり眠れてなかったんです。

僕:その日もだから、乗ったらボタン押してそのまま鏡っていう流れで扉側に背を向けてたんですよ。

僕:さっき防犯の話しましたけど、背中向けてても人が乗り込んできたら分かるじゃないですか。鏡で。

僕:その時も鏡越しに男性社員が乗ってきたのに気付きました。

僕:こいつめっちゃ鏡見てんじゃんって思われるのなんか恥ずかしくて、鏡見たままとりあえず、

僕:「お疲れさまです。」

僕:って言ったんですよ。いやー最近忙しいっすねとか。

僕:返事返ってこないんですよね。

僕:残業仲間なのにリアクション無いの寂しいなとか思ってたんですけど、なんか、鏡にうつる爪先こっち向いてるんですよね。
僕:つまり僕の背中じっと見てるわけですね。

僕:何故?

僕:で、よくよく考えたら、オフィスに今残ってるのって上司だけのはずなんですよ。
僕:いや、上司置いて先に上がって良いのかよってつっこみはこの際置いといて……女性なんですよ。

僕:ヒールなんですよ。僕の上司。

僕:鏡にうつってるの……、

僕:革靴。

僕:で、扉閉まりました。

僕:あ、これやっべ。

僕:そう思って、あー残業きついなーとか、上司にLINEしなきゃ! とか言って、誤魔化して、あと、クマめっちゃ確認。
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