ラスト・ヴァンパイアハンター。《K》
『ラスト・ヴァンパイアハンター。《K》』

少年《K(Kevin)》版です。もう一つ少女《A(Alice)》版もあります。ストーリーの内容は同じですが台詞のニュアンスは微妙に変わるかもです。

◆あらすじ◆
老いて死にゆくヴァンパイアハンターのもとに、復活した吸血鬼が訪れる話。

◇登場人物◇
老人:ジョシュア・クルスニク。ヴァンパイアハンター。百十六歳。

少年:吸血鬼。ケヴィンと名乗るが、本来の名称と性別は不明。年齢不明。
少女版もあります。そちらはアリスです。
名前の意味はアリスもケヴィンもだいたい『高貴な』って感じです。

 ◆◆◇◇

  ベッドに横たわる老人。

老人:……客人か。

  ノックの音。

老人:……開いとるよ。

  扉を開けて少年が入ってくる。

少年:こんばんはジョシュア様。
老人:おや、どなたかな?
少年:隣室のリチャードの孫のケビンです。
老人:ほう、リチャードに孫がいたとは知らなんだ。
少年:こちらに来るのは初めてですのでお見かけしないのも当然です。祖父が大変お世話になっているとお聞きして、お見舞いも兼ねてご挨拶に参りました。
老人:あのリチャードの孫にしておくには惜しい礼儀正しさだな。
少年:今年からボーディング・スクールに入りまして、マナーはそちらで。今は夏休みなのです。
老人:成る程、利発そうな訳だ。
少年:光栄です、お爺様。あぁそうだ。お見舞いの品にりんごを持ってきましたのですが、ジョシュア様はお好きですか?
老人:りんご?
少年:ええ、栽培が盛んな地域にある母の生家で取れたものです。美味しいと評判ですので、お体に障らないようでしたら、是非食べていただきたいのです。
老人:嫌いでは無いがな。あまり良い思い出がないのだ。
少年:お気に召しませんか?
老人:いいや、貰うとしよう。
少年:ほんとですか! それは嬉しいです!
老人:ははは。

  少年、ベッドサイドチェストにりんごを置く。

老人:よもや。
少年:え?
老人:よもや、生涯をヴァンパイアハンターとして生きたこの私の最期の客が貴様とはな。
老人:腐れ吸血鬼?

  間。

少年:吸血鬼? ……あはは、お爺様ったら何を言い出すんですか。僕はかわいいかわいいケヴィンです。ハロウィンはまだ先ですよ?
老人:二十年も前のことだったか?
少年:二十年前でしたら僕は生まれておりませんね。
老人:八つ裂きにした全身をケシの実と一緒に銀のミキサーにかけ、コンクリートで固めてフィリピン、トンガ、マリアナ海溝に遺棄。心臓は三つに分けてキラウエア・三原山、ストロンボリの火口に処分したつもりだったのだがな。
少年:…………。
老人:脳味噌はどうしたんだったか、忘れてしまったな。
少年:……静かの海。
老人:ああ、そうだったそうだった。プルトニウム239と一緒に固化ガラスでキャニスタに詰めて月面に置いてきたんだ。
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