目安箱ラブレタァ
幕開け。
【四月・いつもの場所】
舞台上に山本、海崎。

海崎:これより、定例会議を始める。
山本:はい、会長。
海崎:最初の議題は、機能の新入生歓迎会の反省について……

水嶋登場。

水嶋:失礼します!あの……生徒会の方で、間違いないですか。
山本:ええ。
水嶋:よかったあ。(悪気なく)こんな汚いところに集まってるから、違うのかと思った。
山本:なんですって。
水嶋:私、生徒会に入りたいんです!
海崎:おお!
山本:本当?嬉しいわ。
海崎:名前は。
水嶋:一年一組の水嶋です。
山本:水嶋さんね。私は二年生で、副会長の山本。(手を差し出し)水嶋さん、歓迎するわ。
水嶋:(山本の手を両手で取り)はい。よろしくお願いします!
山本:ええ、よろしく。それで、こっちが……
海崎:(両手を広げ、大声を上げ、気障ったらしく)この学校を誰よりも愛し、そして、誰からも愛されている、生徒会長の海崎だ。海崎様と呼びたまえ。
水嶋:(平静で)よろしくお願いします、海崎先輩!
海崎:(薄いリアクションに判りやすく落胆し)ああ、うん。よろしく……。(急に切替え)今から会議を始めるところだったんだ。君も参加していけ。
水嶋:会議って、三人だけですか?他の役員は?
海崎:あまりやる気が無くてなあ。
山本:人手が欲しい時には、手伝ってくれるんだけどね。
水嶋:そうなんですか。それにしても、なんでこんな所で会議をしているんですか?生徒会室もあるのに。
山本:(深刻そうに)それには訳があって、実は……
海崎:(堂々と)ここが好きだから。
山本:……という訳なのよ。会長。会議を始めましょう。
海崎:(仰々しく咳ばらいをし)ごほん。では、まず……(軽い声で)なんだっけ。

山本、水嶋、ズッコケる。

海崎:そうだ。新入生歓迎会についてだった。
山本:特に何も問題は無かったと思います。進行もスムーズで、不適切な内容もありませんでした。
水嶋:私もいいですか!
海崎:早速か。そうだな、新入生側の意見ももらえると、ありがたい。
水嶋:正直に言っていいですか。
山本:勿論。
海崎:いいぞ。
水嶋:ハッキリ言って、
山本:おお?
海崎:おお?
水嶋:(過度に溜めて)め……っちゃくちゃ、つまらなかったです!
山本:えっ。
水嶋:無駄に長い挨拶がやたらと多くて、それがやっと終わったと思ったら、次の部活動紹介もとにかく退屈!ステージの上で、部長が簡素な説明と勧誘をするだけ。本当に、全っ然面白くなかったです。私の隣の男子なんて、思いっきり寝こけてましたよ!
山本:(ショックを受け)うそ。
海崎:まあ、そうだろうなあ。
山本:えっ?
海崎:俺も寝そうになったし。
山本:会長!
水嶋:運営側でさえ眠くなるようじゃ、よっぽどつまらなかったってことですよね。
山本:生徒会主催の企画だし、真面目にやらなきゃいけないもの。
水嶋:真面目過ぎるんですよ。みんなを楽しませることも、必要なんじゃないですか。
海崎:一年生なのに、よく言った!お前、なかなか見込みがあるじゃないか。
水嶋:当然です。私は、いずれ生徒会長の座に就くんですから。
海崎:いいぞ、生徒会長は。魅力たっぷりの、最高のポジションだぞ!会長だというだけで、生徒からも教員からも、一目置いてもらえ、ちやほやされる。
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