厳正なる抽選
「厳正なる抽選」 作・東 詩依
【登場人物】
男１
男２
男３
男４
女１
舞台は公園である。
舞台中央にレジャーシートが敷かれており、その上には懸賞ハガキの束が置かれている。
◯公園（夕方）
秋から冬に移り変わる頃。
男１が懸賞ハガキの当落作業をしている。
サイコロを振り、奇数が出たら右手側に（当選）、偶数が出たら左手側に（落選）、といった感じでハガキを仕分けている。
男１ （振る）三……（右に置く）（振る）五……（右に置く）（振る）二……（左に置く）（以降、繰り返す）
下手から男２がやって来る。
男１がサイコロを振るのを見た男２は、自身もポケットからサイコロを取り出し、男１と同じタイミングで振る。
男１ 八……（左に置こうとして違和感に気づき）八？
男２ 俺の勝ちだな。
男１ え？
男２ お前は二で俺は六。そういうことだ。
男１ そういうことじゃない……邪魔をしないでくれ。
男２ 負けを認めないのか？
男１ 勝負じゃないんだ、これは。
男２ ふーん……。（離れる）
男１、仕分けを再開する。
下手から男３がやって来る。
さきほどの男２と同様に、ポケットからサイコロを取り出し、男１と一緒に振る。
男１ 十……（左に置こうとして違和感に気づき）十？
男３ やったゾロ目だ！ （サイコロに手を伸ばし）貰っていいですか？
男１ 貰う？
男３ あなたが五で私も五。ゾロ目を出したら貰えるルールですよね？
男１ そんなルールは無い……お前もどっか行ってくれ。
男３ へぇ……。（離れる）
男１、仕分けを続ける。
男２と男３、それを眺めながら。
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