あの日、私は人形に夢を見た。
「あの日、私は人形に夢を見た。」作:廣川潤季 
 
 
登場人物   
◎ユリ       病気の影響で記憶をなくしていく少女。いつも人形を持ち歩いている 
◎ヒャク      ユリの母の依頼で作られた、ユリの記憶を覚えていくアンドロイド 
○ユリの母  ユリの記憶を残すためにアンドロイドの作製を依頼 
○ドクター  ヒャクにユリの記憶を移植する。ヒャクからはドクターと呼ばれる 
○看護師      ユリとヒャクを見守る看護師。ユリとヒャクからはミサトさんと呼ばれる 
 
 
場面 
【自宅】      ベンチ×2・テーブル・椅子・白布団・布団カバー・私物 
【病室】      ベンチ×2・テーブル・椅子・白布団・日記帳 
【ベンチ】  ベンチ×1・花壇?(病室とは明らかに違う小道具があると○) 
 
 
 
 
Scene 1 
 
 
【自宅】セット。 
照明は夜っぽく。 
ベッドにヒャク(幼少時代のユリ)が座っている 
夜、人形を抱っこして眠れずにいるヒャクのもとに母親がやってくる 
 
ユリの母  「ユリ、まだ起きてたの? そろそろ寝なさい」 
ヒャク   「お母さん」 
ユリの母  「どうしたの、ユリ?」 
ヒャク   「眠れないの」 
ユリの母  「眠れないのね。何かあったの?」 
ヒャク   「わかんない……わかんないけど、怖いんだ」 
ユリの母  「そっか、怖いのね。ユリは強い子ね」 
ヒャク   「え、なんで?」 
ユリの母  「だって、怖いことから逃げないんだもの。すっごく強くて、素敵なことよ」 
ヒャク   「そうなの?」 
ユリの母  「ええ、とっても。……でも、ユリひとりではまだ心細いんだよね」 
ヒャク   「うん」 
ユリの母  「じゃあ、ユリが怖くなくなるように、歌を歌ってあげよっか」 
ヒャク   「うん! 私、お母さんの歌大好き」 
ユリの母  「ありがとう。じゃあ、お休み、ユリ」 
ヒャク   「うん。おやすみ」 
 
ユリの母がヒャクの手を優しく包み、歌(Jupiter/平原綾香)を歌う。ゆっくりと眠りに落ちていくヒャク。 
暗転。 
 
 
Scene 2 
 
 
【病室】セット。 
明転 
ユリが目覚める。病院の白いベッド。人形はそばにいる。 
 
ユリ   「お母さん……あれ、おうちじゃない」 
 
ユリ、鼻歌で歌を歌う。最初は楽しそうに歌うけど、途中で歌を止める 
 
ユリ   「……まだ、覚えてるよね」 
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