ざしきわらしのいる部屋2025 第1話 捨てられないもの
ざしきわらしのいる部屋2025

 

第1話 捨てられないもの

井上(30代女性)……国家公務員として勤務する。同期の中でも比較的いい感じに進んでいる。大学時代は演劇サークルで脚本を書いていた。

持田(30代女性、声だけの出演)……井上の演劇サークルの同期。同期の中で唯一役者を続けている。久しぶりに卒業10周年で公演をした。

ざしきわらし(男性)……まじめで丁寧なざしきわらし。名前もそのままざしきわらし。謙虚。人の役に立ちたい。常に丁寧語。

座間(男性)……自由なざしきわらし。部屋の措置に出られる。

斎藤(30代男性)……井上が応募した脚本賞の担当者。業界人っぽく若干ちゃらついた感じ。

井上の母親(声だけの出演)……まじめで娘が国家公務員であることを誇りに思っている。

 

第1場

 部屋。ちゃぶ台とベッドと洋服掛けがある。ざしきわらしは隅っこでお行儀よくタマゴッチなど何かの遊びをしている。井上が疲れて帰ってくる。

 

井上 あー、疲れた(ジャケットをかけ、ベッドに倒れて携帯を放る)。はぁ。

ざしきわらし お帰りなさい。

 

 ラインの音。映像でライン画面が映る(以下映像で流れる。舞台ではしゃべらず演技だけ)。

 

持田 (映像)お疲れー。今、滝沢と飲んでるよー。

 

 滝沢と持田の写真が出る。

 

井上 (リアルな声ではなく録音で)あー、いいねめっちゃ楽しそう。

持田 (録音)井上は相変わらず忙しくしてる?

井上 (録音)今、帰ってきたとこ。

持田 (録音)省庁怖っ。もう日付変わるじゃん。

井上 (録音)毎日こんなもんだよ。

持田 (録音)じゃあ、今年は公演無理かなぁ?

井上 (録音)今年もやるの?

持田 (録音)去年楽しかったから(笑)滝沢もやるってよ。

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