人待ち
「人待ち」 作・東 詩依
【登場人物】
男1
男2
舞台中央にベンチが置いてある。他には何も無い。
昼。
1はベンチで人を待っている。
下手より2がやって来る。
2は1を見るとため息をつき、呆れたように声をかける。
2 お前、まだそんなことやってんの?
1 (2に気づき)……あぁ、久しぶり。
2 久しぶりじゃないよ、まったく……。
1 いつ振りかな?
2 さぁな、お前を見ると時間の感覚が狂うんだ。
1 なぜ?
2 会うたび会うたびずっと同じことしてるからだよ。いつまで続けんのそれ?
1 それって?
2 とぼけんな、人待ちだよ。
1 あぁ……。
2、1の隣に座り。
2 お前がここにいるってことは、まだ来てないんだろ?
1 そうだね。
2 本当に来るのか?
1 さぁ……。
2 そもそも誰を待ってるんだよ?
1 それは……誰かだよ。
2 誰かって……なぁ前にも言ったけどさ、もうやめたほうがいいんじゃないか?
1 どうして?
2 来るかどうかもわからないやつのために時間を使うの、無駄だと思わないか?
1 でも、待たないと。
2 どうして。
1 だって、誰かがここに着いたときに誰も待ってなかったら悲しいだろう?
2 悲しいかもしれないけどさ……それはお前がやらなきゃいけないことなのか?
1 うーん……僕である必要は無いと思う。
2 だったらさ――。
1 でも、誰かがやらなきゃいけないんだ。周りを見てよ。誰も待ってないだろう?
2 (軽く見回し)まぁ……立ち止まってるやつはいないな。
1 ここは道の途中だからね。それが普通だよ。
2 なら何でお前は待ってるんだよ。
1 ここがゴールだって人もいるからさ。僕はその人のために待ってるんだ。
2 お前なぁ……。
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