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知らない土地、だけど右

「知らない土地、だけど右」

登場人物：

神田：男　主人公。異世界から出ようとしている
老人：男　ジジイ。ホームレスみたいな格好をしている。神田に助言する。
小峰：女　異世界に迷い込んでしまった少女。神田についていく。
細井：女　小学校の教師、この世界の説明役
今井：男　祭司。この村に伝わる祭りを執り行うおじさん。
松村：(男/女)　音声だけ。ラストにちょこっとだけ登場する。

計：六人(一人は音声だけ)　男三人・女二人・性別不定一人

Act 1　知らない土地

明転。SE：環境音

神田　これでいっかな

SE：自販機から飲み物が落ちる音

神田　よいしょっと、やっぱこれだよなぁ

　　　少し歩いて、舞台中央当たりで、しゃがんで靴ひもを結ぶ。

神田　あれ、靴紐ほどけてる。よいしょっと

　　　暗転、数秒後、明転。

神田　…った、頭いてぇ、ああすげえ立ちくらみなんだこれ…え、まってここどこ。なんだこのあぜ道。…あれ、さっきの自販機なくなってるし。え、ここに田んぼあったけ？　あれ、さっき絶対こんなとこに小屋なんかなかったよな。…えー、いく？　ちょっと怖くねぇ？　でも、他になんも見当たらないしなぁ。まぁ、ここしかないか、人がいればいいけど…

　　SE：小屋にノックする音

神田　すいませーん、知らない土地に来てしまったのですが、どなたかいらっしゃいませんかー。…あれ、返事ない、すいませーん！　ごめんくださーい。え？　人いない？　
老人　…はい
神田　あ、人いた
老人　…はい？　どなたですか？
神田　えーっと、僕、神田っていいます
老人　…何の用ですか？
神田　あのー、自分がいた元の場所に帰りたくて、だから少しお話をお聞きしたいんですよ…
老人　…自分が元いた場所？
神田　…はい

　　SE：小屋の扉の鍵が開く音

神田　あ、開いた
老人　…では、どうぞお入りください
神田　ありがとうございます

暗転。

Act 2　小屋

明転。小屋には、椅子が二つ、机が一つ。机の上には空っぽのペットボトルが一つ

老人　それでは神田さん、お話を聞きましょうか
神田　は、はい。あの、俺はその、自販機で、飲み物を買ったんですよ、んで、靴紐を結ぼう思って、しゃがんだら、すごい頭痛がして、それで、気がついたら…この土地にいまして

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