無題
「無題」

登場人物

俺:一人劇。パペットを用いた劇をしている。全て一人で読み上げる。

以下パペット
・俺:俺。片目がほつれている。
・少年:男の子
・兎:サーカス団のラビット、うさぎのパペット、レズ
・妻:妻のリス、リスのパペット
・亀:同じ軍隊のカメ、カメのパペット
・熊:軍隊の上官のクマ、クマのパペット
・犬:警官のイヌ。イヌのパペット
・狼:バーの店長のオオカミ。オオカミのパペット



Act 1

舞台の後方に階段。その階段の最上階に窓。結構でかい窓から照明が出るような配置に照明を置く。前方に山をイメージをした壁(段ボール)、そこから役者が右手にパペットを持って座り。上半身だけ、その段ボールから出てくる。教育番組のそれ。役者は口元だけを破った紙袋(目と鼻が描かれている)を被っている。パペットは粗悪なもので男とだけわかる。基本、好きなようにやって構わない。
  
明転。
  SE:陽気なBGM

俺 ある日、俺はここに世に生を受けた。この素晴らしい世界に。たくましく生き、正しい教育を受け、立派な大人に育った。ああ、手が震えているの気にしないでくれ

  右手にパペット(俺)を持った状態で話す。

俺 でもそのある日、俺は仕事をクビになった。絶望したよ。くっらーい顔をして、俺は帰り道をトボトボ歩いてたんだ。そよ風が頬をなでるような、そんな心地の良い日に。…すると目の前には少年が、風船を持って歩いていた。

  左手にパペット(少年)を持つ。

俺 そしたら突然、突風が吹いてな。あろうことか、少年が力強く握っていた風船が木に引っかかってしまった。あちゃ、これは大変だ。俺は少年を助けたいと思い、木に引っかかっている風船をひょいっと、取って少年に渡した。すると
少年 ありがとう! お兄さん! 
俺 …って、無邪気なかわいい声で言うんだ。俺は嬉しくなっちゃってな、もっと、いろんな人を喜ばせたい、そう思ったんだ。でも、俺にはトークスキルもなければ、上手いジョークだって言えない。うーん、悩んだ。悩みに悩やんだ。そこで、鏡を見てみたんだ。

  左手に鏡を持つ。

俺 あー、あるじゃん! 俺にはこれが。…俺には、少しばかり運動ができる体があった。これだ、と思って、やってた仕事をやめて、思い切ってサーカス団に入団した。第一希望は落ちちゃったけど、なんとか、当時、住んで町の二番目に大きい事務所に、入ることができたんだ。ん? ああ、そうだよ、俺はここに住んでない。なんなら、一昨日ここに来たんだ。…そこで、俺は下積み時代っての言うのかなぁ、最初はロッカーの清掃、化粧メイクの調達、スケジュール管理とか、そんな地味なことをやってたんだ。でも、その努力の甲斐もあってか、表舞台に立つチャンスをもらったんだ! 猛練習したさ。そこで出会った仲間にも励まされて。特にラビットには。

Act 2 サーカス

  左手にウサギのパペット。

俺 ラビットは同じサーカス団の一番人気のピエロ。こいつは俺にこう言った
兎 お雨と一緒に出れるなんて嬉しい限りだ
俺 そんな、照れちゃうよ
兎 いいから、一緒におもしろい劇を作ろう
俺 あぁもちろん。…そして、本番当日、劇は、大成功!

  俺の後ろにある照明を照らす。 SE:陽気なBGM

俺 そこからはもう、うなぎ上りだった。ラビットと俺のコンビの評判は、瞬く間に町全体に広がった。観客数も増え、予約殺到! 次第に劇場も大きいところを借りられるようになり、いつの間にか、うち町には俺らの劇団を知らない人はいないくらい大きくなった。…そして、ありがたいことに俺にも妻ができた。

  左手にリスのパペット。

俺 妻は、サーカスを見てくれて、そして、俺のことを好きになってくれたらしい。ありがたい話だ
妻 ずっと一緒にいたい。私の隣でずっと、笑わせてほしい
俺 ああ、勿論。二つ返事で承諾したよ。俺は、幸せ者だ。
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