憐れ!シャドウバン太郎
コント
コント『憐れ!シャドウバン太郎』作:第三字宙 約分(約文字)

登場人物:
シャドウバン太郎(シャドウバンに気づいた覚醒者)
看守(世界を監視する者)
色男仮面(謎の存在)

ここはマイクロブログ「エックシー(旧称:シャベッター)」の世界。それは現実を模した仮想現実の世界である。少年のような中年・シャドウバン太郎が叫ぶ。

バン太郎「おかしいだろ、この間まであんなに“通知祭り”だったのに! なんで、急に、静まりかえってんだよ!」

スマートフォンのような板に向かって叫んでいる。

看守「どうされましたか?」
バン太郎「お、リプがついた! って、プロフィールがねえ、おめぇ、一体誰だ!?」
看守「私は監視アルゴリズム。異常アカウントの最終確認に来ました」
バン太郎「オイラは異常なんかじゃねぇ!」
看守「異様なアカウントを検知したものですから。あなた、お名前は・・・」
バン太郎「オイラは、シャドウバン太郎!」

タイトル「憐れ!シャドウバン太郎」

看守「なるほど、名は体を表す」
バン太郎「どういう意味だよ! 北風小僧の勘太郎からインスパイアされたんだぜ!」
看守「それはよくわかりませんが、状況的にあなたはシャドウバンになっています」
バン太郎「シャドウバン? なんだってんだぜ?」
看守「アカウント停止ではありませんが、タイムラインに表示されにくい状態のことです」
バン太郎「表示されにくいだぁ? お、おい、一体オイラのアカウントに何が起こってるんだぜ?」
看守「短期間で、大量にフォロー、ブロック、ミュートしましたね?」
バン太郎「効率化の努力だぜ!」
看守「投稿が下品」
バン太郎「個性だぜ!」
看守「フォロワー全員からミュート」
バン太郎「統計のバグなんだぜ!」
看守「思想の押し付けで通報」
バン太郎「ぐぬぬ・・・!」
看守「思い当たることは?」
バン太郎「ないとは言えないんだぜ!」
看守「じゃあ、しょうがないよね」
バン太郎「くそ! なんとかなんねーのかよ!」
看守「この世界では、やさしさ以外はノイズです。(間)無音を選ぶ自由もございますよ」
バン太郎「だ、だけどよ、オイラだけじゃねーぜ? すんげぇ、かたよった思想とか、肌色の画像とか、普通におすすめにでてくるぜ、なんでだぜ!?」
看守「それは、あなたが、そういう人だからです」
バン太郎「は?」
看守「そういうの興味あるんでしょ?」
バン太郎「・・・いやぁ?」
看守「そのようなカテゴリが好きな人をフォローしてる、とか」
バン太郎「え? ま、まさか グラビア達磨さんとか、えげつない画像botとか、それをフォローしてるからダメなのか?」
看守「・・・」
バン太郎「フォローされたら、リフォローするのが礼儀だってばあちゃんが言ってたぜ!」
看守「・・・みなさんが過ごしやすい世界に、私たちは整えているだけなのです」
バン太郎「おいらがシャドバンされてるのは・・・」
看守「あなたは、他者にとって過ごしやすい世界からは邪魔なんですよ」
バン太郎「シャベターってのは、好きなことをつぶやいて、変なこといってる奴をからかったり、さらしたりする場所だぜ」
看守「“エックシー”」
バン太郎「は? エックシー?」
看守「シャベッター旧称です。今は“エックシー”」
バン太郎「なんだその、くしゃみみてぇな名前は!」
看守「今は令和ですよ。ここはそれぞれのクラスタにとって平和な世界になるように構築されています」
バン太郎「平和、令和・・・じゃあ、オイラってば、そんな世界の邪魔者なのかよ?」
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