フォーチュン・イヴ
フォーチュン・イヴ

弓木 俊(ゆみき しゅん)
岩本 啓吾(いわもと けいご)
水無月 綾瀬(みなづき あやせ)
木下 佳奈子(きのした かなこ)

舞台は放課後の教室。
夕暮れが差し掛かる頃。
カラスの鳴き声が聴こえる。
薄明かりに佳奈子が入ってくる。
教室の電気をつける。
どうやら文化祭の準備中で、アチコチ散らかっている。

図書室から借りてきた本をぱらり、と開く佳奈子。ぶつぶつと、本を音読する。

佳奈子「 思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを_」

佳奈子、はぁ、とため息をつく。
そこにやってくるのは啓吾。

啓吾「あれ?佳奈子だけ?」

佳奈子、ぱたんと、本をしまう。いそいそとバックに入れる。

啓吾「なーにサボってんだよ。」
佳奈子「サボってなんかないよ。ちょっと休憩してただけ。」
啓吾「そういうの、サボってるって言うんだよ。」
佳奈子「そういう啓吾だって遅刻してるじじゃない。16:30集合って言ったでしょ。」
啓吾「送れたの2分だけだよ。それに、まだあいつら来てないし。」
佳奈子「うちの班だけだよ、衣装完成してないの。」
啓吾「しゃーないじゃん。学生は忙しいんだから。」
佳奈子「何が忙しいの。ゲームばっかりしてて。」
啓吾「ゲームは必修科目なんだよ。」
佳奈子「はいはい。早く作業しようね。」
啓吾「え?あいつら来てからで良くない?」
佳奈子「良くない。出きるとこからやらないと、帰れなくなるよ。」
啓吾「えー。俺帰ってゲームの続きやりたいんだけど。今良いところなんだよ。」
佳奈子「そう思ったら手を動かして。」
啓吾「わかったよ…。何からやれば良いの。」
佳奈子「もう、自分で考えてよ!ちゃんと説明書印刷してきたでしょ!」
啓吾「苦手なんだよなぁ…。裁縫…。」
佳奈子「文句言わない。お口縫っちゃうわよ。」
啓吾「おぉこわ…」

無言で作業する2人。

啓吾「…遅いな、あいつら。」
佳奈子「…2人でサボってたりして。」
啓吾「ハァ!?なんだよそれ…許せねぇな…。」
佳奈子「あら。随分ムキになってるみたいだけど。」
啓吾「…別に。」
佳奈子「ふーん。」
啓吾「な、なんだよ」
佳奈子「(小声で)啓吾、綾瀬の事好きでしょ。」
啓吾「!?ばっ!、バカ何を…」

啓吾、周りを見渡す。

佳奈子「バレバレじゃん。」
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