SIN理試験
SIN理試験
修正版第四稿
原作 江戸川乱歩
作者 清水英太郎
登場人物
蕗谷誠一郎 (男) 貧乏な苦学生
斎藤勇 (男) 蕗谷の友人
大家 (女) アパートの大家
咲良 (女)大家の姪
明智小五郎 (男/女) 名探偵
花崎真由美 (女) 明智の助手
中村 (男/女) 警部、明智の友人
今西 (男/女) 中村の部下
ナレ1/2 (男/女) 黒子兼狂言回し
あらすじ
優秀だが孤独な大学生、蕗谷誠一郎は奨学金とアルバイトで生計を立てながら苦学している。東京のボロアパートで心理学を学ぶ彼は恵まれない自分の境遇に鬱屈した感情を抱き、次第にストレスをためていた。友人達にも隔意を抱く蕗谷だが、不思議な雰囲気の少女咲良との交流だけが数少ない慰めだった。
ある日、いよいよ金に困った蕗谷はアパートの大家が脱税のために巨額の現金を自室にため込んでいたことを知る。その金を「未来ある青年の学資」にするのは当然だと考えた蕗谷は巧妙に完全犯罪の計画を立てると、ついには大家を殺してまんまと金を奪うことに成功する。
大家を殺した犯人として疑われたのは蕗谷の友人、斎藤だった。安堵する蕗谷だが、警察は次第に蕗谷を疑い始め、蕗谷は警察で心理テストを受けることになる。一時は動揺する蕗谷だったが心理学の知識を活かしてとうとう心理テストを欺き、証拠をつかめなかった警察は蕗谷を釈放する。
斎藤は真犯人として警察に起訴され、叔母の死で動揺した咲良は蕗谷にすがる。論文が受賞したことで学資の心配もなくなり、蕗谷は良心の呵責も忘れて我が世の春を謳歌する。
しかし蕗谷に疑念を抱く中村警部は友人の私立探偵、明智小五郎に協力を依頼。明智の鋭い演繹によって完璧に思えた犯罪計画は次第に綻んでいく。
テーマ
心理試験を中心に、罪と罰、太陽がいっぱいの要素を組み込みました。あとキャッチミ―・イフユーキャン。知らないやつはググれ。
コンセプト
平成中期の古き良きミステリドラマをモデルに各キャラクターの個性を爆発させる構造、個々の演技ではなく流れと掛け合いの中で雰囲気を作る。
“嘘くさい”演技、感情を載せる演技より、むしろ自然体でやる気の無さそうな、なげやりな、怠惰な、退廃的な演技を。急に演技が始まる雰囲気任せな演技はしない。
自分の台詞がない時の演技を重視、段取りに縛られた“お約束”を極力減らしたい。真面目な人ほど段取りに縛られて「お芝居」になってしまいがち
感情を爆発させて“表現”するのはNG、一枚の絵ではなく、一瞬の場面ではなく、一つの作品の中でリアリティを出す。コメディドラマの手法を参考。
演出
本来袖のある劇場で中割を使う想定だったのですが、おそらく袖なしの小劇場でも可能です。作品の性質上ストップモーションとピンスポを使う機会が多いです。舞台転換時の暗転はできるだけ減らすつもりですが、演出上どうしても何か所か残る可能性があります。
各キャラクターについての詳細設定や背景はあえて記載しませんでした。演出側には共有しますが役者陣は立ち稽古まで目を通さず自分なりの役者像を作ってほしいです。
各人物、演者の性別は自由度を高く設定しています。特に明智小五郎は是非女性にもやってもらいたいです。
脚本の自由度はWキャストにも対応したものです。Wキャストを含めた場合、男性二人〜十四人。女性三人〜十六人の間で調整できます。
舞台
中央に大きな机と左右に長椅子がひとつづつ、ブロックでもOK、暗幕にはまとまりのない様々な年代の絵画が張られている。
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