Café in caffeine -カフェ・イン・カフェイン- 【ショートバージョン】
Café in caffeine -カフェ・イン・カフェイン- 【ショートバージョン】
登場人物
川西美桜(25) カフェの店長。学生時からバイトしていた店で雇われ店長に。
深田隼人(34) 文具メーカーの営業職。外回りの合間にカフェに立ち寄る。(サボり)
榎本圭(27) アイドル専門の記事を書くネット記者。クロック・ロックの大ファン。
明転。
カフェ「エターナル」の店内。
壁には時計がかかっている。
店内BGMでクラシックがうっすら流れている。
美桜、板付きで、カウンターでグラスを拭いている。
ドアベルの音。
深田が入店し、カウンターに向かう。
仕事の合間でビジネスバッグを携えている。クールビズ。
美桜「いらっしゃいませ―」
深田「こんにちはー、美桜ちゃん」
美桜「えっ深田さん!?(久しぶりなニュアンス) ずいぶんラフな格好ですね」
深田「いやー、もう暑くてさ。(カウンター席に座り)いつもの」
美桜「はーい、深田さんスペシャル。えっと…アイスにします?」
深田「いや ホットで。暑いけどさ、コーヒーはやっぱ、ホットが落ち着くよね」
美桜「(笑って)かしこまりましたー」
美桜、先にお冷を出す。
深田、一気に飲み干す。
スマホで取引先からのメールチェック。(のふりをしてスマホゲーム)
深田「あ そうそう。カップはあの、(カウンターの奥の棚を指し)ちょっと欠けてるやつで」
美桜「またこれ?(棚から手に取り、不思議そうに)なんで好きなんです?」
深田「欠けてる方が…落ち着くんだよね。なんか美術品ってさ、歪んだものとか未完成のものに価値を見出したりするじゃん? 完成形を想像させる?みたいな」
美桜「ふーん?(作業しながらで話半分な感じ)」
深田「俺もしょっちゅう仕事でミスして上司に怒られるけどさ、人間もちょっと欠点あるほうが味があると思うんだよね。ほら、伸びしろあるほうが育てがいあるっていうでしょ」
美桜「へーぇ?」
深田「だからさ、欠けてるっていうのは、壊れてるんじゃなくて、まだ途中ってことなんだよ、俺もカップもさ。完成してないからこそ、まだなんか、希望がある!っていうか…」
美桜「うーん?」
深田「ねえ、さっきから聞いてる?」
美桜「聞いてない(即答)」
深田「聞いてよぉ」
2人で笑う。
再びドアベルの音。
圭が入ってくる。
ノートパソコンが入ったトートを肩にかけており、ピンク色の服を着ている。
美桜「あ、圭さん! いらっしゃいませー」
圭「(窓際の席を指し)ここいい?」
美桜「はい どうぞー」
圭、窓際の席に座り、PCを開く。
美桜、お冷が乗ったトレーを持ってカウンターから出てくる。
美桜「(お冷を出しながら)お飲み物は? アイスラテ?」
圭「そう、アイスラテで。あとWi-Fiって…」
美桜「ごめんなさい、昨日から壊れてて…」
圭「やっぱそうだよね…」
美桜「うん?」
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