輝石と彼岸の約束
輝石と彼岸花の約束
著 KESHI
本来降りるはずだった駅を寝過ごしてしまった、夢月。夢月を乗せた列車は終点へと向かおうとしている。次の到着点は、『黄泉國』
【登場人物】
鴨久 夢月…会社員。ブラック企業勤めで常に疲労しきっている。
珠峯 玄譜…大学教師。同じく寝過ごした乗客。名前をよく間違われることを気にしている。
本田 翠 …音楽家。声帯の病気で、おもった声が出せなくなり、音楽家人生を捨てた身。
加藤 大也…建築学科在学中の大学生三回生。温厚な性格で気が弱い。
荻穂 乃蒼…宝石店勤務。冷静で寡黙。
老人 黄泉國大社の神主。迷子の案内人として機能する責任者。
扉が閉まる音が聞こえ、夢月は目を覚ます。
夢月 しまっ…。た…。やっちまったぁ。私としたことがこんな…。
列車が進み出す。
夢月 なんでだよぉ。もお!!(扉を蹴る。)明日は大事な商談があるのにぃ。あぁ、また残業だぁ。もう嫌だぁ。(頭を抱える。)まぁいっか。一旦寝よう。明日も朝早くから夜遅くまで仕事だから。とほほ…。
車内アナウンスが流れる。
車掌 次は終点。「黄泉國」黄泉國です。
目を覚ますと列車は停まっており、外には四人の人がいた。夢月は立ち上がり、人々の元へ駆けつける。
夢月 すみません!!ここはどこでしょうか…。
周りを見渡すと彼岸花が一面を埋め尽くしていた。
夢月 すごい彼岸花の数…。
玄譜 やあ。君もどうやら乗り過ごしたんだね。私たちみんなそうだったんだ。
夢月 そうなんですね…。
大也 とんだ災難ですよ。明日は大事な講義があるのにぃ。これ逃したら留年ですよぉ。
夢月 私も大事な商談があるんです…。
大也 俺たち気が合いそうですね。
夢月 ははは。
玄譜 ところでみんなの名前を聞いてなかったな。聞かせてくれないか?
夢月 そうですね…わた———。
乃蒼 まず、人様の名前を聞く前に自分の名前を名乗ってください。礼儀です。
玄譜 お、おう。そ、そうだな。おほん。私の名前は珠峯 玄譜(たまみね くろうた)。早稲田大学で教授をしてるんだ。どうぞよろしく。
大也 わ、早稲田大学だって…!
翠 すごいところですね。
夢月 いいところですよね。早稲田って。
玄譜 ありがたいな。ん?おやおやおやおや?もしかして君は…鴨久くんかい?
夢月 やっと気が付きましたか!!お久しぶりですね。教授。
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