それぞれの夢に向かって
それぞれの夢に向かって
CAST
光明(みつあき)
ゆん
加奈(かな)
秀人(ひでと)
誠(まこと)
明(あきら)
公園
加奈「ねぇ、みんなは夢ってある?」
誠「俺はある。世界を股にかける海賊だ!」
加奈「・・それでさー」
誠「じょ、冗談だよ。しかとするな。本当は弁護士になろうと思ってんだ」
明「へぇー、意外だな」
誠「もうずいぶん前の話だけど、クラスで財布が盗まれて俺が犯人扱いされたことがあったんだ」
ゆん「あっ、覚えてるよ。小2のときだよね」
光明「俺も覚えてる。確かあのとき、みんなで誠は犯人じゃないって言ったんだよな」
加奈「最終的には秀人が推理して誠の無実を証明したんだよね」
秀人「推理なんて大層なもんじゃない。廊下に犬の足跡がついてたから学校にすみついてるあの犬だろうと思っただけだ」
明「でもさ、学校の全員に犬の場所聞いてまわったのはすごかったよな。教室の扉開けると同時に犬がどこにいるか知りませんかってな」
ゆん「みんなキョトンとしてたよね。そのあと、犬のところに行って光明がペンをやったんだよね」
光明「やったんじゃない。秀人が何かくわえさせるような物ないかって言うから貸したんだよ」
加奈「そのおかげで財布が見つかったんだよね」
誠「あのとき、みんなが俺を信じてくれたのがうれしかったんだ」
ゆん「信じないわけないでしょ。親友なんだから」
明「信じるのが当たり前だろ。お前はバカだけど人の物をとったりするような奴じゃない」
誠「それは、褒めてんのか、けなしてんのか?」
秀人「そういえば、あのときのペンってどこにいったんだ?」
光明「えっ、どこだっけ?確か使い物にならなくなって・・」
誠「(ペンをとりだしてから)これだろ」
光明「そう、それだよ」
誠「俺、あのときうれしかったんだ。みんなに助けてもらってすごくうれしかった。だから無実の罪で疑われてる人を助けたいんだ。あの
ときのみんなみたいに・・」
加奈「そっか。ねぇ、あのペンどうして誠が持ってるの?」
光明「はっ、そういえばそうだ。いったいいつの間に・・?」
誠「こら、誤解を招くような言い方をするな。みんなが助けてくれたっていう証拠を持っておきたかったんだよ。お守りとして。それに、
元はと言えば光明がくれたんだぞ」
光明「思い出した!確か使い物になんないなって言ってたら誠がじゃあ、ちょうだいって言ってきたからやったんだった」
秀人「そういうことは早く思い出せよな」
光明「ごめんって。ところで秀人の夢は?」
秀人「俺は、小説家になりたい」
明「はぁ?もったいねぇよ。頭いいんだからもっと別の目指したら?」
秀人「俺はいろんなことをたくさんの人に伝えたいんだよ」
明「冗談だよ」
秀人「は?」
明「秀人がそう決めたんなら応援するよ」
ゆん「秀人って昔から文書くの好きだったもんね」
秀人「あぁ。ありがとな」
明「どういたしまして。・・俺は夢なんか持ってないんだ」
誠「えっ?」
明「なりたいのがみつからないんだ」
加奈「明もなの?実は私も夢を持ってない。高校に行って夢を見つけようとしか今まで考えてなかった」
ゆん「私もだよ。でもこの頃みんながそういう話ばっかりしてて不安になって・・」
光明「何言ってんだよ」
明「高校行って夢を見つけたいんだろ。それだって立派な夢じゃねぇか」
秀人「何も夢ってのは、なりたい職業だけとは限らないんだ。夢ってのは実現したい理想だからさ。なんでもいいんだ。夢を見つけたいっ
てのもそうだし、人としゃべりたいとか、大切な人のそばにいたいとかでもいいんだ。明も加奈もゆんも十分立派な夢を持ってる」
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