雪解けサンタ
雪解けサンタ
キャスト
サンタ 女
麗子 レイコ 女
サトシ 男
麗子、ベッドで寝ている。
サンタ、白い袋をかついで下手から出てくる。袋を床に置き、しんどそうに腰を伸ばしたりする。かがんで、袋の中身を見て、ニヤリと笑う。
麗子 「(寝返りをうつ)うーん……」
サンタ、止まる。しばし待機。
サンタ、麗子に忍び足で近付く。寝ている事を確認。胸を撫で下ろす。
サンタ、麗子の部屋の中を物色。その際、写真立てを見て、眼の色が変わる。
怨恨の篭った眼で、寝ている麗子を睨む。
サンタ 「(小声)このメス猫め……」
サンタ、麗子に襲いかかろうとするが、止まる。良心と戦う。結局、やめる。
サンタ、再び袋の中を覗く。ニヤリと笑った後、麗子を睨む。
サンタ 「……ふふふふふふ」
麗子、起きる。今にも高笑いしそうだったサンタと、眼が合う。
麗子 「あなた、誰?」
サンタ 「み、見てわからない?」
麗子 「サンタクロースのつもり?」
サンタ、頷く。少し沈黙。
麗子 「警察呼ぶわ」
麗子、携帯電話を取り出す。
サンタ、全力で止める。
麗子 「ちょっと! 放しなさいよ!」
サンタ 「話だけでも聞いてよ!」
二人、離れる。見つめ合う。サンタ、肩で息。
サンタ 「わかってる。(上を見る)サンタなんて、本当はいないと思ってるんでしょ?(麗子を見る)」
麗子 「……そりゃあ、ね。仮にも二十四歳だし」
サンタ 「でも違うの! サンタクロースは、ちゃんとどこの国にだっているのよ! もちろんプレゼントを貰った子供たちはみんな口止めされているから、公には空想上の人物として認知されているけど、本当は違うのよ! 今は夢も希望も約束も純粋も無くなった時代だから、インターネット上の某国内最大掲示板サイトなんかに、サンタクロースの情報を載せる精神の穢れた子供がいたりするから、暇な時にでも見てみなさいよ!」
サンタ、何故か勝ち誇ったような表情、姿勢。
麗子、まったく信じていない(+ウザそうな)表情。
麗子 「はいはい。じゃあ、あなたが本物のサンタクロースだとしましょう」
サンタ、にっこり頷く。
麗子 「今、何月?」
サンタ 「(笑顔で)四月!」
麗子 「サンタクロースって、クリスマスにプレゼントをばら撒く慈善家なんじゃないの?」
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