石ころと私達の事情
キャスト


B
C
D
E


M0 IN
客席暗転。

A板付き。

M0の最後は車のブレーキ音。

明転。

A「今、私はどこにいますか?ふと、怖くなるときがあります。
  私が私である理由も確証もどこにもないんですから。
  ともかく難しいのは『ここにいること。』」

Bが出てきて、眠りにつく。

A「一つの事故で、大切な人が亡くなりました。私は複雑な意味で『悲しい』と感じるでしょう。」

Cが出てきて。

A「もうあなたと語れない。」

C「あ、今私悲しいのかな?」

A「もうあなたを抱きしめられない。」

C「この人がいなくなったらどうなるんだろう?」

A「もうあなたと歌えない。」

C「『なんで死んじゃったのよ!馬鹿!』とか言ってみようかな。」

A「なんで死んじゃったのよ!馬鹿!!」

C「皆泣いてるな・・・。私も泣こうかな・・・。」

A「(膝をつき、泣きじゃくる。)」

C「(石ころを取り出す。)私は思い出します。ただ『ここにいる』だけで存在を完成できる一つの石ころを。」

A「(立ち上がり。)私にとって『私がただ私でいること。』それは非常に難しいことなんです。」

C「でも、石ころはちがいます。ただそこにあるだけなんですから。」

B「(起き上がって)誰だってそうでしょ?」

A「あなたは?」

B「僕は僕。君は君。」

A「でも私は・・・。」

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