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１０年目の交霊会

　　　　　　
※作者注※

　本作の内容は２００７年に公開された映画「キサラギ」に人
物・状況設定・話の展開等全般において酷似しておりますが
「キサラギ」の原作舞台が２００３年に中野・劇場ＭＯＭＯにお
いて初演されたのに対し、本作はそれに先立つ７年前の１９
９６年に荻窪アールコリンにて上演された作品であることを明
記しておきます。　　
　　　　　　

　　　　　　
　　　　「１０年目の交霊会」
　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　竹村　直久
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　登場人物
　　　　　　
　　　　　　梨明　　秋（29）　高等学校教員
　　　　　　霧河　　勝（29）　警察官　（私服刑事）
　　　　　　田中　　誠（29）　ミュージカル俳優を夢見る
　　　　　　安井　正次（29）　銀行員
　　　　　　時元　冴子（29）　ＯＬ　正次のフィアンセ
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　
　　　　　　舞台は地下室である。
　　　　　　中央に大きめのテーブルがあり、周りに五つの椅子
　　　　　　がある。
　　　　　　壁に時元冴子（十七歳当時・舞台衣装姿）の油絵の
　　　　　　肖像画が掛かっている。
　　　　　　隅には地下室らしく大工道具やロープ等が転がって
　　　　　　いる。
　　　　　　後方の棚にはカセットデッキがある。
　　　　　　上手にこの地下室の唯一の出入り口である鉄の扉が
　　　　　　ある。
　　　　　　＊　　　　　　　　＊　　　　　　　　＊
　　　　　　暗い舞台。
　　　　　　上手の鉄の扉がギィ〜と音をたてて開き、火の灯っ
　　　　　　た燭台を持った黒装束の秋が入って来る。
　　　　　　舞台中央に立って宙を見つめて語り始める。
　　　　　　　　　　　　　
　秋　「先生……先生、覚えてますか？　私、秋です。早いもの
　　　　で、先生が死んじゃってからもう１０年も経つんですよ。
　　　　実は今日ね、あ頃の５人組がここに集まるんです。皆も
　　　　１０年経って今じゃあの頃の先生と同じ位の歳になった
　　　　のよ。ふふ、懐かしいでしょ。正ちゃんに誠、マーちゃ
　　　　ん、それから冴子も、私も１０年振りに皆が集まるから

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