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ぼく
「全く、俺はあんたのことが好き過ぎて、嫌い過ぎる。
 あなたが誰かと一緒に笑っているだけで、僕の気は狂いそうだ。
 あなたが好きなものは、僕は全部嫌いだ。
 あなたを好きなひとは、僕は全部嫌いだ。
 ヒトだろうと、コトだろうと、モノだろうと、あなたに影響を与える全ては僕にとっては恐怖でしかない。
 あなたが仲間たちと楽しそうにしているところを想像するだけで、僕は嘔吐が込み上げて来て、僕は嗚咽に支配される。
 僕はあなたがいないと何も感じることができないんだ。
 僕はあなたがいないとがんばれないんだ。
 あなたが僕以外の誰かと一緒にいるって考えるだけで、僕は死んでしまいそうだ。
 食事も喉を通らない。
 僕は死んでしまいそうだ。
 僕は死んでしまいたい。
 しかし、それでも僕は死ぬことはできない。
 本当はすぐにでも死んでしまいたいのだけれども、人間は簡単には死なないんだ。
 ねえ、殺して下さい。
 だって、こんなにも苦しいんだよ?」

わたし
「どうして伝わらないんだろう。
 こんなにも好きなのに。
 こんなにも愛しているのに。
 こんなにも必要としているのに。
 好きだと言っているのに、私の言葉は伝わらない。
 ねえ、会いたいって、それだけじゃあ理由にならないの?
 それだけじゃあ、生きる理由にはならないの?」

ぼく
「悪いけど、俺にはそんなんじゃあ、全く理由にならない。
 生きる理由になんかなりゃあしない。
 あんたはいいよな。俺に会うだけで満たされるんだから。
 幸せになれるんだから。
 ああ、俺はあんたが嫌いだ」

ぼく
「人物(ひと)だろうと、作品(もの)だろうと、経験(こと)だろうと。
 僕にとっては全ては醜悪だ。
 あなたを取り巻く全てが醜悪だ。
 どうしてこんなにも寂しくて、
 どうしてこんなにも狂おしい。
 愛しても、愛しても、僕の心は満たされなくて、
 愛されても、愛されても、僕の心はどこまでもからっぽだ。
 あなたが好きなものなんて大っきらいだ。
 あなたを好きな存在なんて消してしまいたい。
 どこまでも僕だけで、いつまでも僕だけで。
 僕だけを求めているあなただけが、意味がある。
 僕だけを好きな君だから、生きている意味があるんだよ。
 それ以外の君なんていらない」

わたし
「私はね、ずっと空虚だったんだよ。
 誰といても、空虚だったんだよ。
 大切な人はいるよ。でもね、一緒にいてもどこか寂しかった。
 友達と一緒にいても、みんな、私よりも大切な人がいて、そこに帰ってしまうの。
 それがとてもとてもさみしかった。
 私は、やっぱり、ひとりなんだって、気付いてしまって。
 とてもさみしい」

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