竹中家の欲望
竹中家の欲望
                 作・白輝 翼



キャスト



亮介



    ―1―

  幕が開けていくと、舞台中央にテーブルがあり、そこに光が当たっている。
  ここは竹中家のリビングである。
  光が全体を照らしていくと、引き出しや戸棚など、いくつかの家具が見えてくる。

  父、紙とペンを手に登場。

父  うーん、11、15、21、いや20、

  父を追うように亮介、出てくる。

亮介 ねえ、父さん。
父  むしろ17でも、しかし、そうなると、
亮介 父さんってば。
父  なんだ?今忙しいんだ。
亮介 こっちだって大事な用なんだよ。
父  ん?なんだ?
亮介 あのさ、進路のことなんだけど。
父  進路?
亮介 うん、希望書いて、提出しなきゃいけないんだ。
父  ほう、で、お前はどの方面に行きたいんだ?北北 西か?
亮介 どこだよ!?それは方面って言うか方角だからね。
父  分かってる、分かってる。冗談だ。
亮介 もう。
父  で、実際はどこの大学受けようと思ってるんだ?
亮介 あ、うん、それで、さ。
父  どうした?
亮介 ちょっと言いにくいんだけど、
父  なに?
亮介 えーと、
父  どこの大学だ?東大か?京大か?もしくは、いっそのことハーバードか?
亮介 いや、さすがにそれは。
父  違うのか?だったら県立大?市立大?それとも、○○(適当な大学名)大とか?
亮介 いや、そこでもなくて、
父  安心しろ。お前がどこの大学を受けてどこの大学に行こうと、父さんは全力でお前を応援してやるからな。
亮介 う、うん、じゃあ言うけど、
父  うん。
亮介 えっと、俺さ、
父  うん。
亮介 大学は、行かないことにした!
父  ほう、内琴西田(ナイコトニシタ)医科大学かぁ。なるほど、医者を目指すというんだな。
   そういえば向かいの霧島さんのとこも医者だったな。どうせならあれくらい立派な医者になるんだぞ。
   まあ、楽な道ではないんだろうが、父さん、応援してるからな。
亮介 父さん、父さん。
父  ん?どうした、ドクター。
亮介 ドクター?いや、そうじゃなくて、大学へは進学しないんだよ。
1/14

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム