パンツのない世界
『パンツのない世界』

世界からパンツがなくなってしまった。
それによって不幸になってしまったと思い込む人たち。
 しかし世界は変わらず回り続ける。
 変わったことなど何もない。変わったとすれば、それは彼らの考え方である。
 人生なんて、考え方次第で感じ方がどうとでも変わってしまうものなのだ。
 この不条理さを理解していただけると幸いである。

 オムニバス短編コント集、「偏人趣向/パンツ(仮)」の一部。

 (本作品は「笑いのない世界」のパロディである。)

  /

  暗転中、

全員「はあ……」

  大きな溜め息をつく。

A「世界から、パンツがなくなってしまった」

  照明C・I
四人、立っている。
四人、下半身は舞台装置やら小道具やらなんやらで隠れている。
どうやらパンツどころかズボンもなにもはいていないようである。
四人、テンション低く、

A「僕たちの世界からパンツが消えた」
B「もうおしまいだ」
C「人生お先真っ暗だ」
D「これから何を楽しみに生きていけばいいんだ」
  
  一息置いて、声を整え、
  四人、テンション高く、尾崎豊風に歌いだす。

A「♪盗んだパンツで取り乱す」
B「♪盗んだパンツを盗まれた」
C「♪盗んだパンツを買わされた。・・・別にいらない」
D「♪夜の校舎窓ガラス壊して──パンツ!!」

  ストップモーション。間。

全員「はあ……」

  テンション高く、

C「それじゃあここで、とっておきのパンツを一つ」

  全員Cに注目。

C「冷戦の延長としてパンツ開発競争が盛んになり、とうとうアメリカは勝負下着を開発した。
 その時アメリカの調査隊は、プールではパンティが使えないということを発見した。報告を受けNASAは、
 40億ドルの予算と10年の歳月をかけ、とうとうプールでも使えるパンティを開発した」

 一息置いて、 

C「一方ロシアは、海パンを履いた」

1/2

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム