あらすじ
余命三年。それが彼女に下された宣告だった。
病名は、恋煩い。
この場合、それは文学的な比喩や、恋に悩み苦しむ事を指す言葉ではない。
それの『症例』が発見されたのは、ほんの数年前。
この病を患った者は、ある感情を内に秘める事によって激しい胸の痛み、動悸の乱れ、
呼吸不全、食欲や身体機能の低下など、さまざまな症状を併発する。
そして、それは徐々に重度なものになり、最終的には命を落とす。
それの引き金となる感情は、恋。
故にそれは恋の病と呼ばれていた。
治療法は、まだない。
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