ハッピーターン
平成25年度地区大会参加作品
CAST
吉岡 ユイ :
安田 サクラ:
ボブ :
鈴木 ヒロム:
幕開き
第1場
明転。
遠くから蝉の声が聞こえる。
演劇部の部室。
上手奥に斜めに設置してある机と椅子が6脚。2列×3セット。
中割りの奥にパネルを6枚。
舞台中央奥に、カラーボックスとCDラジカセ。
下手側には掃除用具ボックス。
カレンダーが8月19日になっている。
舞台上、中央前にボブが椅子に座っている。
ユイは机の後ろ側。
サクラは中央のラジカセの横に待機。
それぞれ手には台本。
ユイ 照明音響さん、オッケー?
サクラ オッケーです。
ユイ 役者さん、オッケーですか?
ボブ オッケーです。
ユイ じゃあ行きまーす。よおい、はい。
サクラ、ラジカセのボタンを押す。ホイットニー・ヒューストンが歌う。
ユイ そこは放課後の私立高校。新人教師宮澤トオルは誰もいない教室で、1人悶々と悩んでい
る。
ボブ うわ〜、どうしたらいいんだ。僕は悩むぅ。僕はまだ未熟な青年教師なのに、でも、クラ
スの女生徒に告白されてしまったぁ。しかも彼女は校長先生の娘なんだ。どうしよう。こんなことが校長先生にバレたら、僕はクビだあ。
ユイ 「そこにヤスコ登場。彼女はトオルの高校時代の担任で、今はトオルのクラスの副担なの
だ。」あら、トオル君、どうしたの?何を悩んでいるの。
ボブ (ちょっとふてくれさて)辞めてください。学校では名字で呼んでください。
ユイ (ちょっと大げさに)あはは。あ、ごめんごめん。そうだったねトオル君。
ボブ ほら。
ユイ (テヘペロ)。ごめん、宮澤先生。で、どうしたの?さっきから悩んでいるようだけど。
ボブ 別に、なんでもないです。
ユイ ははーん。さては、クラスの子に告白されたなあ。
ボブ ど、どうしてそれを。
ユイ ふふ。担任と副担の関係と言えば付き合いの長い漫才師のようなもの。ひとたびマイクの前に並んで立てば、相手の調子は分るものなの。
ボブ 凄いなあ、ヤスっち。
ユイ こら。学校ではヤスっちって呼ばない。約束したでしょ。
ボブ あ、ごめんなさい、ヤスっち。
ユイ あははは。
ボブ あははは。
ユイ で、相手は誰なの?
ボブ ……吉田アスナです。
ユイ 吉田って、校長先生の娘さん?!
ボブ はい。
ユイ それじゃあ、宮澤先生は未来の校長先生になるじゃないの。良かったね。
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