GOSPEる
GOSPEる    作 げんだつば

キャスト

館長  (男)65才くらい。 役場を定年退職した元公務員。地域のために、を心情とする。
丈   (男)32才くらい。 東京でゴスペルを歌ってた。
たまき (女)55才くらい。 商店街のおばちゃん。
明美  (女)26才くらい。 たまきの娘。
由香里 (女)30才くらい。 OL
重三  (男)34才くらい。 なんだかよく判らない奴。正論を吐く割には受け入れにくい。
雄三  (男)52才くらい。 家庭に行き詰まりを感じている。
その他エンディングの歌を歌う大勢。

声のみ

明美の高校の時の先生
明美の女友達
明美の女友達(他の声)
明美の女友達(ユウカ)
雄三の妻
雄三の娘


プロローグ
 幕前が明るくなると、老人が一人パイプ椅子に座っている。お茶碗を抱いてお茶をすすっている。
 ゴスペルの歌声が聞こえる。微笑みながら聞いている。
 ややあって、携帯電話がなる。館長オモムロニ電話にでる。
館長   「・・・はい、イロハ町公民館ですが・・・。ああ、こりゃどうも。いつもお世話様。
      うん、どうですか、そっちは。・・・え?行革で大変?そうか、そうだろうねえ。
      え?何だって?・・・いや、そんな、閉鎖って、突然じゃないですか。え?行革の一環?
      いや、でもここは地域住民のコミュニケーションの場としてですね、とっても大事な
      役割を・・・え?判ってる?判ってるならどうしてそんな・・・いや、決まったことだからって、
      そんな・・・市長の指示って・・・君ねえ・・(電話切れる)」
 館長、そっと受話器を降ろす。考えている様子。ゴスペルの音楽が聞こえる。
 館長、何か思いついて電話を掛ける。
館長   「・・・ああ、もしもし。どうもお久しぶり。どう?そうか、そうだな。体は大事にしな
いと。お互いもう年だ。ウン・・・ウン。いや、実はちょっと頼みがあって。
確か、お前んとこの息子、この間帰ってきたって言ってたよな。
うん。そう・・・確か、ゴスペルやってたって。え?それがどうかしたかって?
いや実はさ、ちょっと頼みがあってね、うん。いやいやたいした事じゃない・・・」
 照明フェードアウト。音楽フェードイン。

第1場 <出会い>
 音楽フェードアウト。クロスでバラバラの歌声が聞こえてくる。何人かの声はそれなりだ。
 公民館の一室。上手側に机と椅子。椅子には館長がニコニコ顔で座っている。皆の様子を見ている。
 舞台中央にはたまき、明美、重三、由香里が立って発声練習している。
 やや下手よりに丈が苦虫を潰したような顔で立って皆を見ている。
 ややあって。
丈    「はーい、ご苦労様。おしまい、おしまいですよ、はい、はい、はい。
もう、よおく判りましたから。はーい、どうもー。」
 頭を抱える丈。心配そうに寄っていく館長。
館長   「どうです?丈君。いけそうですか?」
丈    「いけそう?いけそうって、どこに?」
館長   「いや、どこにって、どこにもいかないですよ。
このメンバーでゴスペルが続けられるか、っていう、そういうことですよ。」
丈    「無理です。」
たまき  「返事ハヤ。」
丈    「だって、そうでしょ。経験者一人もいないんですよ。」
館長   「まあ、新しい講座だし、指導できる人もいなかったから・・」
丈    「ゼロからのスタート、いや、マイナスからのスタートなんですからね。」
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